ジャパン・ヤーン・フェア/こだわりの商品提案/初出展含む56社

2018年02月22日 (木曜日)

 日本最大級の糸の展示会「ジャパン・ヤーン・フェア」が21日、愛知県の一宮市総合体育館で開幕した。15回目となる今回は初出展を含めて、商社、紡績メーカーなど計56社が出展。各社の強みや開発力などを生かし、原料や品質などにこだわった商品を提案した。

 初出展は森保染色(一宮市)、大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)、スミテックス・インターナショナル(東京都千代田区)の3社。森保染色はウールが持つ機能性を改めて訴求するとともに、ダニの発育を止める機能など多彩な加工技術を紹介。「一社でも多くの来場者に当社のことや加工を知ってもらえれば」と話した。

 モール糸製造卸の伊高撚糸(一宮市)は、今年から本格的に展開する意匠撚糸「ノーカットモール」を展示した。生地にしたときの柔らかな風合いがあり、同社が扱う従来のモール糸の半値以下で供給。既に数社から引き合いがあり、「値段を気にするお客さんが増えており、この糸も価格が一番の魅力」と述べた。

 豊島グループの豊島紡績(名古屋市中区)も、スーパーエクストラファインウールを原料にした「わたあめ」を今展で初めて出品した。非塩素加工を施し、柔らかさと独特のぬるみが特徴のタイプは「プラチナわたあめ」としてアピールした。

 意匠撚糸製造卸の近藤(一宮市)は、特殊な原料のナイロンを使ったミンク調のファーモール糸がイチ押し。「従来のものは柔らか過ぎるが、これはハリ・コシがある」。撚糸・タオル製造の浅野撚糸(岐阜県安八町)は、特殊撚糸「スーパーゼロ425」の機能「キカネツ」をPR。ストールやTシャツなどの製品として展示した。

 来場者でニット専業テキスタイルメーカーの女性は「軽くて縮まない糸やウールでウオッシャブル性がある糸などを目当てに来た。他社で使われていない目新しい糸もあれば」と語った。

 開幕に先立ち、オープニングセレモニーを開催。一宮市の中野正康市長は「他市とも連携し、一体となって尾州を盛り上げていきたい」とあいさつした。開催15回目を記念して、初回から参加する企業への表彰式もあった。

〈JYF在名商社2社/関心集める独自糸/化繊使い技術で差別化〉

 21日開幕した「第15回ジャパン・ヤーン・フェア(JYF)」で豊島、モリリンの在名商社2社がそれぞれ、独自の糸提案を行い、来場者の関心を集めている。

 豊島ではオーストリア・レンチング社の精製セルロース長繊維「テンセル リュクス」に興味を示し、熱心に質問する来場者が目立った。チーズに巻いたテンセル リュクスと生地サンプルを出品したが、経糸にシルク、緯糸にテンセル リュクス使いのほか、経糸にトリアセテート長繊維使いも提案した。

 モリリンも新素材を打ち出した。紡毛ライクなポリエステル長繊維加工糸「バルジ―」、メリノウールと扁平断面ナイロン長繊維の長短複合糸「メリノアーマー」。バルジ―は国内で糸加工、糸染めまで行う。かさ高性があり、軽量性を持つ天然繊維代替素材になる。

 メリノアーマーはナイロン長繊維をメリノウールに巻き込むように交撚した。吸放湿性や形態安定性に加え、毛羽立ちを抑える。ともに新素材であることから「今回展で反応を探りたい」としている。