糸の力 JYFから(下)/「目新しさ」求める声/他にない差別化商品提案

2018年02月28日 (水曜日)

 JYFでは来場者の声として、「目新しさ」や「他にない物」を求める声が多かった。出展企業もそういったニーズに対応するべく、強みや独自性を生かした差別化商品の展示に加え、ブースでの見せ方にもこだわった。最終回は「珍しさ、新しさ」を中心に紹介する。

 特殊糸製造販売のミマス(三重県玉城町)は、カシミヤのような風合いとシルクのような光沢が特徴のスーパーファインリネンや麻ライクなポリエステル素材を提案し、来場者から手応えを得た。担当者は「手触りなどから、麻ライクなポリエステルに多くの人が驚いていた。変わった物に興味を引く来場者が多かった」と振り返る。

 「見栄えの変化が求められていた」と話すのは、カシミヤ糸製造の東洋紡糸工業(大阪市忠岡町)の担当者。ファー加工を施したカシミヤ100%の素材や、ウール、カシミヤの糸に高い発色性を施す「イーフィール」をアピールした。「来場者はこれまでにないような表情感や見た目、風合いなどを気にしていた」と語る。

 珍しいという意味では、信友と国内紡績で組織するタオルヤーンクラブはタオル糸として合繊混をアピールした。タオル糸は綿100%が主流の中、ポリエステル・綿混を使用。原着ポリエステルを使ったり、綿部分だけを染色したりして、メランジ調などのカラーバリエーションを訴求した。見え方が珍しいとして人気が高かった。

 ブースでの見せ方を工夫したのが、サイボー。展示した村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」で紡績したリネン糸の隣に、金属製品の研磨などに使われるサイザル麻を並べた。普段、アパレル関係者の目に触れないような商品をあえて展示することで、インパクトを狙ったという。

 展示方法では、製品のイメージを付けやすくするため、糸と併せて衣料品を展示する企業は多い。ストレッチ系の意匠撚糸製造の堀田丸正(東京都中央区)は光沢感が特徴のポリエステル・綿混糸「レクサス」などと、この糸を使った製品を置きPRした。(おわり)