中国内販@インターテキスタイル上海18春 第5回/環境への関心が高まる

2018年03月28日 (水曜日)

 今回展でも「環境」を切り口にした提案は増えた観がある。前回の昨年10月展では「中国市場ではまだ早いが、いずれ出てくる流れ」と将来を見据えた提案という側面もあったが、今回は「世界的な流れ。環境対応素材を指定してくる中国アパレルも増えている」とする声も多く聞かれるようになった。

 旭化成は今回、キュプラ繊維「ベンベルグ」の総合ブースを設置した。これまで裏地、アウター、インナーと別ブースで紹介していたが、今回は各用途が結集して総合力を訴求した。

 ブースではベンベルグのサステイナブル素材としての特徴を訴求した。原料であるコットンリンターの説明から、生分解性などの素材特徴、工場での再生可能エネルギーの使用比率やゼロエミッション化などの取り組み、社会貢献活動までトータルでの取り組みを紹介した。現在は欧州や日本など他の展示会でも同様にサステイナブル素材としての訴求に力を入れている。

 豊島のブースでは食べ物の色に着目したテキスタイルブランド「フードテキスタイル」が注目を浴びた。食品企業などと組み、廃棄予定の野菜や食材を染料に変えて着色する。再利用による省資源といった環境対応に加え、野菜を使うことによる優しい色合いも魅力の一つ。ベースとなる生地には「オーガビッツ」などを使い、環境素材としての魅力をさらに高めている。Tシャツなどの衣料品だけでなく、かばんなどの雑貨にも力を入れる。

 このほか、尾州を中心とする日本製素材や和紙シリーズも注目された。和紙シリーズはマニラ産の麻を和紙の製法でシート化し、スリット後、撚糸して糸にする。抗菌防臭のニーズが増えていることから、銀の糸「ミューファン」(中国では「銀之助」の商標で展開)を改めて訴求した。

 小松精練はタマネギの皮など天然成分による合繊染色「オニベジ」を前面に打ち出した。ブース中央ではスエード素材「コマスエード」を「オニベジ」で染めた豊富なカラーバリエーションを紹介。「環境」に加え、通常の分散染料で染めるよりも優しい色となる点も特徴の一つで、目の疲労度を軽減するデータも得ているという。このほか、植物由来原料を用いた透湿防水素材「ウスタモックGR」などを紹介した。

 アパレルパーツでも環境を訴求する流れが見られた。YKKグループの中国ファスニング事業5社は今回展で、中国で生産するファスナーやボタンなどを紹介した。環境への関心が世界的に高まる中、ファスナーとボタンの最新商品に加え、ブースでは「エコフレンドリー」のコーナーを設け、リサイクルPETを使用したファスナー「ナチュロン」やめっきレスボタンなどを紹介した。

(おわり、上海支局)