豊島とMIFが注力/「よく伸び、戻る」で差別化/ストレッチ素材開発傾向

2018年04月11日 (水曜日)

 パンツにはストレッチ性の付与が当たり前になっているが、もう一歩、付加価値を高める開発傾向が見られる。豊島と三井物産アイ・ファッション(MIF)がそれぞれ、高伸張・高回復ストレッチ素材に力を入れており、販売数量の拡大を見込むほかパンツ以外の商材に広げる方針を採っている。

 ある商社の製品OEM/ODM担当者は「婦人パンツには、100%と言ってよいくらいストレッチ機能が備わっている」と話す。付いていて当然の機能となる中で豊島とMIFは従来の素材よりもよく伸び伸張回復率にも優れる開発品によって、同分野での差別化を図っている。特に伸張回復率の向上は既存のストレッチパンツの欠点である「膝抜け」の防止を求める顧客のニーズに応えるものでもある。

 豊島は、全方向に伸縮する布帛調丸編み「ワンダーシェイプ」の販売を17秋冬向けから本格化。製品ビジネスで重点戦略とする素材軸提案で主力になりつつある。丸編みながら織物のような見た目と風合いを持ち、伸張率は一般的な素材のおよそ3倍となる約80%、回復率も約90%で通常の70~80%より優れる。

 有力SPAとストレッチジーンズで大型の取り組みを決めたことで知名度を高め、継続採用する顧客が増加傾向。商品もスラックスに広がるほか、薄手タイプの開発による春夏トップス向け、ユニフォーム用途も開拓する。中国の工場で加工設備を投資し、生産能力も高めている。

 MIFは、独自素材群「クロスアプリ」で独自開発の高伸張高回復機能糸を使い、異素材を複合する織物のバリエーションを増やしている。25~30%の伸張率、95~97%伸張回復率が特徴。綿・レーヨン複合、ポリエステル・羊毛複合、綿交織のデニムなど品ぞろえを強化しており、ストレッチ分野で同素材群を主力に位置付ける。

 百貨店アパレルブランドが今春夏のジーンズに試験的に採用。店頭販売が好調なことから1月に倍増の追加注文を受け、18秋冬での広がりを期待する。18秋冬展示会で披露したこれらの素材で「再プレゼンを求められるケースが多い」と言う。

 パンツ地とともに、薄地織物も強化分野。シャツ、ブラウス向けブロード素材、合繊を複合したクールビズ用ジャケット素材などトップス用途も19春夏向けから本格的に開拓する。