東レ/細さと耐摩耗性 両立/ハイメッシュ織物素材で
2018年04月12日 (木曜日)
東レは11日、モノフィラメントとしては繊維径が世界最細レベルの2マイクロメートルで、かつ高い耐摩耗性を備えた高性能液晶ポリエステル(LCP)モノフィラメントを開発したと発表した。スクリーン印刷用のハイメッシュ織物素材などとして糸売りする。
電子部品やタッチパネルなどのプリント配線時に、スクリーン印刷を適用する動きが広がっている。ただ、配線の精細化によって、スクリーン印刷に使用するメッシュ織物には、細繊度素材によるハイメッシュ化が求められているという。同メッシュ織物にはステンレスやポリエステル繊維が使用されてきたが、細繊度化するとステンレスは寸法安定性が低下し、ポリエステル繊維は強度・弾性率などが不足するという問題があった。
このため、高い強度や弾性率などの優れた機械特性を持つスーパー繊維であり、コスト優位性のある溶融紡糸が可能なLCPモノフィラメントが注目されていた。しかし、製織工程でフィブリル化しやすく、耐摩耗性が低いという問題があった。鞘部に柔軟なポリマーを使用する複合紡糸技術で耐摩耗性を付与できるが、この場合、細繊度化が困難になる。
同社は、ポリマーの結晶化がLCP繊維フィブリル化の原因の一つであることを突き止め、紡糸後の熱処理でそれを制御することに成功。同繊維の優れた機械特性を維持しつ、十分な耐摩耗性を備え、かつ繊維径が20マイクロメートルのLCPモノフィラメントの製造技術を確立した。