繊維街道 私の道中記/明石スクールユニフォームカンパニー 社長 河合 秀文 氏(5)/全社員の結束力高める

2018年04月13日 (金曜日)

 河合は2005年に社長に就任した。当時の売上高は180億円。17年には250億円まで拡大した。リーマン・ショック後に一度は減収となったが、それ以外は増収で成長を続けている。

 1996年に1億円投資し、営業社員へパソコンを配り、グループウエアを導入して情報の共有化を進めました。当時はパソコンの使い方を知らない人も多く、浸透には10年かかりましたが、共有した情報を生かすことで、今では大きな財産になりつつあります。

 10年ほど前から「全国営業マン会議」を開いています。その時々のテーマに従って、若手、中堅、ベテランの営業マンを各地から選び、お互いで刺激し合う場を設けています。そういった取り組みが人材育成にも結び付いてきました。

 15年に持株会社制を導入し、企画・営業部門を承継する明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)を立ち上げ、マーケティング機能を強化。全国の販売会社は明石SUCの支店、営業所となり、地域による給与格差をなくした。

 生産から物流に至る設備、営業拠点の充実は不可欠です。こうした設備投資は、社員のモチベーション向上と、働き方改革につながっていると思います。

 PRキャラクターの設定など、若手を中心に新たな発想で、制服の新しいイメージの発信にも取り組む。今年は児島で学生服が誕生してちょうど100年となる。

 着物から洋服へと変わる歴史と、学生服の歴史はほぼ同じです。制服に否定的な時代もありましたが、制服と普段着が共存できる時代へと変化し、日本独自の進化を遂げてきたと思います。

 今は海外からたくさんの観光客が日本へ来て、学生服への関心も高い。学生服を海外へ広めるチャンスかもしれません。

 12年、被服創業80周年の記念誌に河合は「もしも自分が普通のサラリーマンとして会社に入っていたら、人と競って社長になるような人間ではないですね」と語っている。先代の正照社長の時代を知る人であれば、社内の雰囲気が全く違うと話す人は多い。「昔はピリピリしていたが、今はなんて和やかなんだ」と。

 会社には幅広い仕事があり、それらに従事している社員が多くいますが、ともすれば自分の仕事は一生懸命しても他の人の仕事を理解しようとしません。生産と営業は本来「水」と「油」なんです。

 会社を大きな龍に例えると、頭の先からしっぽまで一体になって動かなければ生きていけない。だからこそ全社員の結束力を高めることに力を注いでいます。

 人間は大勢が力を合わせると一人でできないような大きな仕事ができるはずです。私はそうした社員たちのこれからの進む先を明確に示していかなければいけません。(この項おわり、文中敬称略)