パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス/東レと共に次の成長へ/杜結威CFOに聞く

2018年04月16日 (月曜日)

 東レが、香港のニット・染色・プリント生地製造販売会社、パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス(互太紡織控股、略称PTHL)に資本参加(28・03%の株式取得)して9カ月がたった。両社は協力関係を強め、具体的な成果を上げようとしている。PTHLの杜結威CFO(最高財務責任者)は、協業を生かした今後の成長に自信を見せる。

(香港=岩下祐一)

  ――東レの出資を受け入れた理由は。

 実はもっと良い条件を提示した出資先候補もあったのですが、三つの点に期待し、東レを選びました。

 一つは日本の顧客との取引拡大です。当社はインナー用途の生地が中心で、米国や中国のスポーツ大手、米系インナーブランド、米系流通を主要顧客としていますが、東レと協力し、大手SPAをはじめとする日本ブランドの仕事を増やしたいと考えました。

 もう一つは新規事業の開拓です。東レのノウハウや原料を使って、新しい素材の開発に取り組めると思いました。

 三つ目は東レの海外での知見の活用です。ASEAN地域への工場建設を検討しており、東レの力に期待しています。

  ――この9カ月の協業の成果は。

 東レから董事(取締役)、営業、技術の担当者各1人を受け入れ、生地開発などに取り組んでいます。既に医療用生地の開発に成功しています。

  ――中国工場の互太〈番禺〉(広東省広州市)の2017年生地輸出額は、中国企業の中でトップでした。一方、17年4~9月期決算は売上高が前年同期に比べ横ばい、純利益が15・3%減りました。

 減益はベトナム工場の休止が影響しました。地元政府と住民のトラブルに巻き込まれ、17年4月から生産ができませんでした。今年1月にやっと稼働しました。

 もう一つの要因は、中国工場の人手不足です。人手不足により稼働率が85%になっています。そのため先ほど述べたように、海外工場の建設を急ぎます。ベトナムに第2工場を設けるか、東レグループが拠点を置くインドネシアにするか検討しています。

  ――中国は環境規制が厳格化しています。

 われわれの受注が増えている背景の一つが、環境規制です。規制に対応できない工場から仕事が移ってきています。

 当社は以前から環境対策に力を入れており、中国政府から環境モデル企業に指定されています。

  ――今後の計画は。

 中国での環境規制や人手不足など難しい問題もありますが、一方で追い風も吹いています。まだまだ成長できる自信があります。東レとの協力関係も生かしながら、次の成長を目指します。