東洋紡の新中計/営業利益300億円に再挑戦/ちゅうちょなく成長分野へ投資

2018年05月14日 (月曜日)

 東洋紡は2021年度(22年3月期)を最終年度とする4カ年中期経営計画を発表した。前中計で目標未達となった営業利益300億円に再挑戦する。楢原誠慈社長は「そのために成長が期待できる領域で経営資源をちゅうちょなく投入する」と強調した。

 新中計では最終年度に連結売上高3750億円、営業利益300億円、純利益160億円、ROE(株主資本利益率)8%、D/Eレシオ(負債資本倍率=負債が株主資本の何倍に当たるかを示す数値)1以下を目指す。楢原社長は前中計で目標未達だった営業利益300億円に再挑戦することに関して「財務内容を気にするあまり、成長分野への投資が遅れた」と指摘する。

 一方、17年度でD/Eレシオが0・81と1を下回るなど財務基盤の改善が進んだ。このため新中計では成長領域へ経営資源を積極的に投入する。主に工業用フィルム、海外での包装用フィルム、エンジニアプラスチック、エアバッグ、機能フィルターなどを成長ドライバーと位置付ける。全社ベースの投資額も4年間で設備投資約800億円、研究開発・マーケティング投資約520億円を計画する。

 成長市場の中心は海外となるため、海外売上高の拡大も重点的に取り組む。17年度の海外売上比率は29%だったが、これを中計最終年度には35%まで高める。こちらも包装フィルムやエアバッグなど海外で積極的な投資を実施したことの成果を具体化させる。

 楢原社長は「従来通りの投資規模でも営業利益300億円までは到達できるだろう。しかし、その先のさらなる成長は不可能」と指摘し、21年度以降の成長に向けても積極的な投資の必要性を強調した。そのためには社風の変革も必要として「カエルプロジェクト」による役員・授業員の意識改革にも取り組む。