綿紡大手の3月期業績/明暗はっきり分かれる/繊維事業は利益重視傾向

2018年05月16日 (水曜日)

 綿紡績大手の2018年3月期連結決算が出そろった。増収増益と減収減益の企業とで明暗がはっきりと分かれた。

 全社ベースで見ると7社中唯一、ダイワボウホールディングス(HD)が前期比増収増益としたほか、クラボウは売上高横ばいも増益、日清紡ホールディングスが2・9%減収だったものの各利益段階で増益だった。一方、シキボウ、富士紡ホールディングス、オーミケンシは減収減益だった。

 繊維セグメントで業績を見ると7社中、6社が減収となったが、3社が増益、1社が黒字転換を果たした。決算会見で多くのトップから聞かれたように“売り上げよりも中身を重視する”傾向が見て取れる。減益になったクラボウとシキボウは国内の原糸分野の不振で共通する。

 ダイワボウHDは3期連続で過去最高益を更新した。原燃料の高騰が利益の圧迫要因となったものの、衣料製品部門での独自原料・素材を活用した提案や、消費者に受け入れられているブランドとの取り組みなどを好業績につなげた。

 クラボウはユニフォーム分野が安定した需要とトレンドに合った素材の供給で堅調に推移。カジュアルは国内販売が底堅く動いた。海外子会社では、東南アジアが順調に拡大したほか、ブラジルも業績が回復基調にあり増収だった。

 日清紡HDは海外子会社の伸長などを背景に増益となった。国内はユニフォーム用途の生地、スパンデックス糸などの販売が増加した。デニム用途の生地やニット用編み物の販売は低調だった。

 富士紡HDは「BVD」ブランドのレディース商品の販売が拡大し、OEM製品や共同開発商品も堅調に推移した。百貨店向けの商品で在庫削減を中心とした構造改革により採算が大幅に改善した。

 オーミケンシはブラジル事業からの撤退による売上高の減少と前期にあった不動産売却益が今期なかったため減収減益となった。レーヨン短繊維の販売は国内、中国向けともに順調で業容は着実に改善している。

 日東紡は国内裏地の販売不振に加え、中国生産の不織布輸出が課税対象となったことで採算が悪化し赤字幅の拡大につながった。