2018春季総合特集Ⅴ(5)/top interview 菅公学生服/常に1位争いする/社長 尾﨑 茂 氏/教育ソリューション事業が拡大

2018年04月27日 (金曜日)

 菅公学生服(岡山市)は、今入学商戦のモデルチェンジ(MC)校の獲得が順調に進んだことで、2018年7月期は増収になりそうだ。MC校の獲得では、学校の採用に向けたコンペや提案で「常に1位争いをすることが増えてきた」と尾﨑茂社長。大都市圏を中心にMC校獲得に弾みがつきだし、来期の物件も既に「順調な滑り出しができている」と手応えをつかむ。

  ――第4次産業革命についてどう見ていますか。

 それが時代の流れだから対応していくしかありません。グローバル化で新たな技術革新がどんどん出てくる中、当たり前に対応する時代であり、それぐらいの意識を持ってやっていく時代だと思っています。

  ――今入学商戦の進展はいかがでしたか。

 学生服、スクールスポーツとも順調です。この時期は入学式までに納入するため忙しい時期ではありますが、スムーズに生産ができ、従業員の残業も大幅に減りました。

 制服のMC校獲得については、全体的なMC校数が例年よりも今年は少なかったと思いますが、当社としては順調に獲得ができ、勝率的にまずまずの結果でした。

  ――店頭販売は。

 まずまず堅調です。パートナーシップ契約を結ぶストライプインターナショナルと共同開発した「アースミュージック&エコロジー カンコーレーベル」など、「カンコー」ブランドそのものが市場に浸透しつつあります。学校指定以外の自由購入アイテムや、学校で制服がない学生向けの制服、いわゆるセレクト制服の販売も増えてきました。

  ――スクールスポーツは「リーボック」ブランドのイメージ刷新や、自社ブランド「カンコー」のプレミアムライン投入など、販促を強めています。

 一部のスポーツメーカーが学販事業を縮小していることもあり、順調に売り上げを伸ばしました。関東だけでなく、関西にもスポーツの専任担当者を置き、地域密着で学校との関係を強めてきたことも奏功してきました。

  ――制服や体育着の新商品を紹介するだけでなく、教育ソリューションを全面に出した「カンコーソリューションフェア」は、毎年来場者が増えていると聞きます。

 昨年は福岡で初めて開きました。これまでとは展示内容を変え、子供の夢と学びを応援する教育ソリューションを前面に出しました。来場者からの反響は大きく、学校の現場にはさまざまな悩みがあることを感じました。

  ――学校教育のサポートをはじめとする教育ソリューション事業は、私学を中心に取り組みが進みました。

 現在は30~40校まで広がっています。取り組みによって結果的にMC校の獲得につながるかもしれませんが、学校が抱える悩み解決のための動きを強めていきます。特色をどうやって出したいかは、学校によって異なります。イメージ刷新やキャリア教育など、できるところから取り組みます。

  ――直営店のカンコーショップ原宿セレクトスクエア(東京都渋谷区)は、セレクト制服のオンラインショップや、「カンコー委員会」を発足し、メンバーオーディションを開くなど、新しい試みを進めています。

 カンコー委員会で選んだメンバーには、カンコーショップ原宿を拠点に、カタログ・ウェブ・各種雑誌広告へのモデル出演や、商品開発、スタイリングの提案、SNSを通じた情報発信などに携わってもらいます。ブランドの発信拠点として、市場での認知度を高めていければと思います。

  ――昨年、南九州一帯にある縫製工場の年間生産点数210万点の裁断業務を一手に担う南九州カッティングセンター(宮崎県都城市)を開きました。

 現在、隣接地に原反の倉庫を建設中で、5月末には完成を予定しています。今のところ、今後の大型の設備投資は考えていません。各工場のCAMをカッティングセンターに移設しており、空いたスペースへの縫製ラインの増強で今後生産が増えても対応できます。

  ――2018年7月期は売上高352億円(前期348億円)を計画しています。

 MC校の獲得が順調なことから、計画通り着地しそうです。学校の採用に向けたコンペや提案で常に1位争いをすることが増え、勝率も上がってきています。若い世代を中心に活気が生まれ、毎年MC校を安定して獲得できるような“良いリズム”が出てきました。

 東京をはじめ大都市圏を中心にMC校獲得に弾みがつき出し、来期の物件も既に順調な滑り出しができています。

 働き方改革も進め、シーズン中の残業も極力減らす方向にあります。旧態依然の仕組みのままではなかなか変わらないため、仕組みそのものを変えていきます。

〈私の記念日/菅公学生服の日〉

 尾﨑さんの記念日は“菅公学生服の日”。ブランド「カンコー」は、学問の神様としても知られる菅原道真公に由来する。2013年の創業160周年の際に、初天神祭日の1月25日を、菅公学生服の日として日本記念日協会から認定を受けた。そこから毎年、役員たちとともに太宰府天満宮(福岡県太宰府市)へ参拝し、「早朝にご祈祷してもらうのが恒例になっている」。社内でもお菓子が配られ、「セレモニー感がありますよ」。このような意識の共有が、全体の士気を高めている。

〔略歴〕

(おざき・しげる)1998年尾﨑商事(現・菅公学生服)入社。2001年取締役、03年専務。06年から社長。