帝人フロンティア/差別化短繊維開発が加速/リサイクルや重金属フリー登場
2018年06月13日 (水曜日)
帝人フロンティアがポリエステル短繊維の開発を加速させている。特に不織布用途は今後の商品高度化のためには差別化原綿の開発が欠かせないとの認識を強める。このため既に、リサイクル原料使いコンジュゲートわたやアンチモンフリーのショートカットファイバーなどを開発した。
同社ではポリエステル繊維生産の海外移管など構造改革が続いたことで、原綿の新規開発がやや停滞していたとの反省がある。しかし、2017年に構造改革が完了したことを受け、原糸・原綿の開発を改めて強化した。特にポリエステル短繊維は不織布向けに差別化わたを開発し、このほど開かれたアジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2018」でも披露した。
その一つがリサイクル原料によるポリエステル(PET)・ポリエチレン(PE)コンジュゲートわた。芯部にマテリアルリサイクルPET、鞘部にバイオ原料PEを採用し、資源の有効活用や二酸化炭素排出量削減に貢献するバインダー繊維を実現した。
環境関連ではアンチモンフリーのPETショートカットファイバーも開発した。繊維用PETの生産ではアンチモン触媒を使用するのが一般的だが、帝人独自の技術であるチタン系触媒を活用することで重金属フリーのPETショートカットファイバーを実現した。RO膜支持体用途などへの提案を予定している。
そのほか、スポーツ衣料用途などで実績のある中空わた「エアロトップ」や8フィン中空断面わた「オクタ」など異型断面のPET短繊維も不織布向けに投入する。主にワイピング材用途などがターゲットとなる。
クッション材「エルク」もバージョンアップが進む。新たに20デシテックスの太繊度原綿を使ったタイプも用意した。従来よりも厚地化が可能になり、ベッドマットなど厚物にも使用できる。
ベッドマットは金属スプリングやウレタン製が一般的だが、処分やリサイクルの観点から問題が指摘されている。このため一部で脱ウレタンの動きも強まる。これに対してエルクはPET100%のため処分やリサイクルでの環境負荷が少ない。ウレタンよりも耐久性や通気性、軽量性にも優れる。ウレタン代替の需要をさらに取り込むことを狙う。