カケンベトナム試験室/機能上げて依頼増に対応/増員やセミナー実施など

2018年08月30日 (木曜日)

 【ホーチミン=吉田武史】カケンベトナム試験室では近年、検査依頼が「かなりの水準で増え続けている」(池田翔太郎室長)。今年度(2019年3月期)も4、5月の閑散期も全く感じさせないほど繁忙という。本格的な繁忙期を控えて、サービス低下を招かないよう人材の補充を進めるとともに、セミナー開催によって日系商社など依頼元との関係強化に努め、ベトナム市場向け繊維製品の検査対応強化にも取り組む。

 池田室長によると、ベトナムに拠点を設けた十数年前から数年間は仕事がほとんどない状況が続いた。その後、チャイナ・プラス・ワンが本格化した際に、日本の検査機関として初めて同国に拠点を設けた“先行者利益”を享受する形で検査依頼が爆発的に増えていった。同国内の検査業務で緊密に提携するフランスの検査機関、ビューロ・ベリタスが持つ国際的な信頼感もそれを後押しした。

 今後もこの流れを継続させたいとし、サービスの維持向上と対応力の強化を図る。その一環として、日本人スタッフを1人9月に増員するほか、ベトナム人スタッフの増員も随時進めていく。

 好評を得ているのが、セミナーの実施。今年5月からこれまでに3回、毎回60人ほどを集めて行っているもので、日系のアパレルや商社、小売りなどの現地スタッフが参加対象。繊維製品の物性や検査の必要性を習熟してもらうことを目的とし、「人材教育の肩代わり」として好評を得ているという。今後も定期化し、要望に応じてさまざまな内容の試験を実施していく。この取り組みによって依頼元との関係強化が図られ、それが検査依頼のさらなる増加につながると考えている。

 現状は日本市場向けの検査が95%を占めるが、今後はベトナム内販向けの検査も本格化する。19年1月には同国で、アゾ染料とホルマリンの検査が義務化される上、日本のSPAやGMSが同国で店舗展開を加速することも予想される。その際の繊維製品の検査ニーズに対応しようというもので、既にある日本の大手小売りとは取り組みがスタートしているという。同国の公的検査機関との競合も予想されるが、「日本人同士ということがメリットになる」とみている。

〈トラック舗装材試験開始 国際陸連認定試験機関に/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)大阪事業所はこのほど、陸上競技場に敷設された舗装材の試験を行う、国内唯一の国際陸上競技連盟(IAAF)認定試験機関となった。9月に同試験の受け付けを開始する。

 オリンピックや世界陸上を開催するためのIAAF屋外陸上競技場は、クラス1の認証が必要となる。しかし、国内にIAAF認定試験機関がないため、業界の要請を受け、15日にカケンが認定試験機関となった。

 新サービスはトラック舗装材の製品検査(ラボで試験)、陸上競技場に敷設されたトラック舗装材の現地調査(フィールドテスト)。試験項目は舗装材の外観確認、平坦性、厚さ、衝撃吸収、垂直変位、滑り抵抗、引っ張り特性、色、排水性など。