東レ・デュポン/安全分野や一般衣料を深耕/「ケブラー」の用途開拓

2018年08月29日 (水曜日)

 東レ・デュポンは、パラ系アラミド繊維「ケブラー」の用途や顧客開拓を加速する。主力の自動車関連に加え、耐切創手袋など安全を切り口とした分野をさらに深耕するとし、サポーターや作業エプロンといったアイテムの打ち出しを強める。極細糸の一般衣料分野への提案にも力を入れる。

 パラ系アラミド繊維への需要は、欧米諸国のほか、ASEAN地域を中心とする新興国でも旺盛で、供給にタイト感が見られる状況が継続している。同社の展開も自動車関連と資材の両用途がともに順調に推移している。

 一層の成長を目指して用途や顧客の開拓を進める。堅調な伸びを示す耐切創手袋は企業の安全意識の高まりで伸び代があるとみる。ケブラーブランドの認知は広がっているが、まだ不十分と捉える。作業内容に応じた商材を訴求し、鉄鋼関連など安全手袋が浸透していない業界も攻める。

 安全を切り口としたアイテムは積極的に拡充を図る考えで、サポーターや作業エプロンなどの展開を増やしていく。「新しい商品が広がるには時間がかかる」(同社)とするものの、少しずつ実績が出てきた。今後も耐切創手袋を入り口に、周辺商品の浸透・拡大を狙う。

 そのほか、一般衣料分野などへの参入を視野に入れ、55デシテックスや83デシテックスといった“極細ケブラー”の開発を終えている。自動車分野も軽量化のニーズが高まっており、主力のゴム資材用途やブレーキパッド用途を中心にさらなる拡販ができると期待する。

 新規顧客の獲得も技術センター「ケブラーテクニカルセンター(KTC)」を基点に進める。KTCは既存顧客との打ち合わせなどに利用してきたが、今年に入り新規顧客の招待を増やし、ケブラーや活用例について説明している。同社は「逆に新しい発想を得られることが多い」とし、用途開拓にもつなげる。