豊島/新商材や新用途 開拓/産資・合繊で海外拡大も

2018年09月18日 (火曜日)

 豊島は今期(2019年6月期)の課題として(1)素材発信力・調達力の強化による主力商材のシェアアップ(2)産業資材・合繊分野と海外販売の商流拡大(3)OEM/ODMの進化(4)CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル・ファンド)とM&A(企業の合併・買収)の加速による新商材やIT活用によるマーケット開拓――に取り組み、単体で売上高2千億円、営業利益60億円と前6月期並みの業績を見込む。

 豊島半七社長は「環境は厳しく、第1四半期のスタートも芳しくないが、期初目標を達成したい」と述べ、課題に取り組みながら、引き続き安定的、持続的な収益体制確立に力を入れる考えを示した。

 繊維素材部門で取り組む産業資材・合繊分野の拡大は「特に合繊による産業資材の海外市場の開拓に余地がある」とし、海外での生機調達や加工力を生かしながら強化する。繊維製品部門は「前6月期は需要家に対する取り組みが弱かった」として、OEM/ODMを進化させるほか、電子商取引(EC)専門アパレルはじめ新顧客の開拓を図る。

 CVCを通じた投資に関しては、国内外のITベンチャー企業に出資し取引先にIT関連の商材を提案するだけでなく、「モノ作りに関連する投資に変化しており、次は新たなシーズをつかむための投資も検討する」と言う。

〈2桁%増収も減益に/18年6月期単体〉

 豊島の18年6月期単体決算は売上高2097億円(前期比12・7%増)、営業利益51億円(14・4%減)、経常利益62億円(13・7%減)、純利益40億円(11・1%減)と2桁%増収も2桁%の減益となった。特に繊維製品部門の減益が響いた。

 繊維素材部門も売上高が925億円と28・4%増ながら、価格競争の激化やコスト上昇分を転嫁しきれず減益。綿花は三国間貿易の拡大に加え、綿花相場高騰も寄与し大幅な増収。綿糸の三国間貿易や産業資材の取り扱いは減少するも、原毛価格の高騰と販売数量の増加で原糸としては増収だったが、コスト上昇から減益。生機・加工織物は中東向け生地輸出が苦戦するも、ユニフォーム、切り売り向けの拡大、コンバーター向けの定番品でのシェアアップで売上高は横ばい。ただ、利益はコスト上昇で減益だった。

 繊維製品部門は開発素材による差別化や異業種の販売促進、CVCによるファッションテック出資をベースにした付加価値提案が奏功。売上高は1147億円と3・7%増収も、コスト上昇や経費の増加をカバーできず減益だった。