第10回PVアワード/日本が2年連続ダブル受賞の快挙/スタイレム、東レが受賞
2018年09月21日 (金曜日)
【パリ=泉克典】19日に開幕した「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」で発表された「第10回PVアワード」のファブリック部門で、スタイレム「ZEN kiwami」コレクションがイマジネーション賞を、東レ「ウルトラスエード」がスマートクリエーション賞を受賞した。(1、2面参照)
PVアワードはPVパリを構成する「PVファブリック」「PVレザー」に出展するテキスタイルメーカー、タンナーの出展品を委員長含め12人の審査員が社名を伏せて審査、選出する。今回の審査委員長はベルギーのファッションデザイナー、オリヴィエ・ティスケンス氏が務めた。
節目の10回目を迎えた今回は、各賞の発表に合わせて過去の受賞作の回顧も授賞式で行われた。日本は惜しくもグランプリを逃したが、昨年のエイガールズのグランプリ、V&Aジャパンのハンドル賞受賞に続く2年連続のダブル受賞という快挙となった。
スタイレムの受賞生地は、レーヨン長繊維糸による先染めチェック。かさ高で軽いタスラン加工糸を経・緯双方に用い高密度に製織。仕上げもあくまでナチュラルに仕上げ、反発感とレーヨンのつや感をそのまま残した。
「ファブレスの生地商社のネットワークを生かして、原料、製織、加工まで多産地をまたいで企画・開発した素材。ファブレスの商社ならではの、情報を生かしたモノ作りの成果」と、企画を手掛けたテキスタイルマテリアル事業部21課の川本健太郎さん。「以前からこの賞を狙って、気持ちを途絶えさせず毎シーズン新作をこのタイミングで出し続けた成果」と喜びをかみ締めた。
東レの受賞生地は、リサイクルポリエステルを用いた銀付き調の人工皮革「ウルトラスエード・ヌー」の厚地素材。2015年の開発以来、薄地も含めて服地に展開するほか、カーシートや家具向けまで幅広く展開してきた。代表して授賞式に臨んだウルトラスエード事業部ウルトラスエード課ファッション生活資材グループの粂田朋来さんは、「当社の技術や生産、営業ほかの各メンバーはもちろん、社外の加工場の協力で開発し、展開に至った素材。関係者全員で受賞の喜びを共有したい」と語った。
アワードの受賞全8社は次の通り。
▽「審査員大賞」(今シーズンを最も象徴し、最も時宜を得た最優秀作品)レザー=FCクレアシオ・イ・イノヴァシオ(スペイン)、ファブリック=マリーニ・インダストリ(イタリア)
▽「ハンドル賞」(優れた感触と驚きの性質で感覚に訴え感動を呼び覚ます作品)レザー=ナトゥーカ・バイ・アッセン・ブティーク(トルコ)、ファブリック=テックスラヴァー(イタリア)
▽「イマジネーション賞」(テクニックや意匠、仕上げ加工の面で最も大胆、独創的、驚きを与える作品)レザー=CKDセンティンカヤ(トルコ)、ファブリック=スタイレムZEN kiwami(日本)
▽「ファッション・スマート・クリエーション賞」(責任ある創造のコンセプトに合致する作品)レザー=FCクレアシオ・イ・イノヴァシオ(スペイン)ファブリック=東レウルトラスエード(日本)