「ITMAアジア+CITME2018」/村田機械/自動ワインダーの新商品紹介/コアスパン糸の新エアスプライサー

2018年10月17日 (水曜日)

 【上海支局】村田機械は19日まで中国・上海で開かれているアジア最大の国際繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME2018」で、自動ワインダー「プロセスコーナーⅡ」シリーズの新商品「QPRO EX」「FPRO EX」を発表した。渦流精紡機「ボルテックス」は練篠工程の短縮を実現したほか、稼働データ管理システム「ムラテック スマート サポート(MSS)」も来場者の注目を浴びている。

 「QPRO EX」「FPRO EX」は、現行機種の強みを生かしつつさらなる自動化や省エネ化を実現した。消費電力は従来比5%以上削減する。リンクコーナーのトレーの効率化による省力化・省スペース化、精紡錘を読み取って不良ボビンを排出するスピンインスペクターによる品質向上などの特徴を持つ。

 スパンデックスのコアヤーンの需要が世界的に増える中、参考出品としてコアスパンヤーン用の新エアスプライサーも紹介した。エアでの課題を解消し、つなぎ目部分も途切れることなく芯糸が入る。市場で多く使われているディスクスプライサーに比べ摩耗による部品損傷が少なくなるなどの利点がある。

 ボルテックスは綿100%メランジ糸の実演や世界の素材ブランドとの協業による生地サンプル展示を通じ、素材の広がりを紹介した。ツルッツラーとの協業により、レーヨン紡績でこれまで3回必要だった練條を1回にした「IDF+1 ボルテックス」を紹介した。ボルテックスはリング紡やオープンエンドとの差別化に加え、近年は粗紡、精紡、巻き返しが1台で可能な点が省人化、省スペース化などの面で注目される。錬條の短縮を図ることで、その強みがさらに生きることとなる。

 ボルテックスの販売は好調を持続しており、足元では主力の中国のほか、トルコ、バングラデシュ、インドネシアなどが好調に推移する。ポリエステル100%、ポリエステル綿混、CVCなどで広がっている。自動ワインダーも堅調で、ウズベキスタン、バングラデシュ、ベトナムなどがけん引する。この3年は特にウズベキスタンが好調で、バングラデシュやトルコと肩を並べる水準に拡大したという。

 「ムラテック スマート サポート(MSS)」はタブレットやスマートフォンでどこでも稼働状況を把握できる仕組みなどを紹介し、来場者の耳目を集めた。インドのほか、中国でも採用企業が増えている。

〈ドイツメーカーが存在感アピール/100社超え海外出展者最大〉

 【上海支局】「ITMAアジア+CITME2018」では、ドイツの機械メーカーが大きな存在感をアピールしている。

 今回のドイツ出展者は海外出展者の中で最多。その数は100社を超え、このうちドイツ機械工業連盟(VDMA)の繊維機械部門の会員が80社以上を占める。そのブース面積も7千平方メートル強で、2016年展と比べて約15%拡大している。

 今回打ち出している主なテーマは自動化、持続可能性(省エネや水、原料、資源の節約)、最高の生産量と品質の追求、デジタル化など。特に、これまで提唱してきたインダストリー4・0をより具体的に提案している。

 例えば、カールマイヤーは効率的なデジタル・ソリューションを素早くかつ柔軟に開発するために「カール・マイヤー・デジタル・ファクトリー」を設立、今後「KM.ON」の新ブランドで提案していく方針。

 サウラーは世界最大の紡績市場中国向けに自動化や糸、スライバーの品質を改善するための技術革新、インテリジェント・ソリューションなどを披露している。

 エリコン・マンメードファイバーは繊維機械生産でデジタル技術のトレンドセッターになることを目指しており、その第1弾として工程管理のための「プラント・オペレーション・センター」(POC)を打ち出した。