繊維ニュース

“合繊代替”の発想へ/変わる天然由来系繊維の開発/脱プラスチックの潮流が背景に

2018年12月11日 (火曜日)

 レーヨンなど天然由来原料による化学繊維、そして綿やウールといった天然繊維の素材開発での発想の転換が起こるかもしれない。新たなキーワードとして登場したのが“合繊代替”。繊維素材開発の歴史の基本構造を覆す動きの兆候ともいえる動きが出てきた。(宇治光洋)

 現在、繊維素材に対する認識を根本的に変えるかもしれない動きとして注目されているのが、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題。その中で合繊が、マイクロプラスチックの発生源として指摘されている。これを受けて、欧州のスポーツメガブランドや大手SPAなどが合繊の採用を控える動きを強めてきた。

 脱プラスチック・脱合繊の動きは、綿やウールといった天然繊維だけでなく、レーヨンなど天然由来原料による化学繊維にとっても追い風となる可能性がある。いずれも生分解性があり、マイクロプラスチック問題への対策として注目が高まってきた。

 レンチングは、再生セルロース繊維「テンセル」がコンポスト、土壌、海水のいずれの中でも生分解する素材であることの打ち出しを強めた。このため近年、スポーツ・アウトドア向けフリースやインナー向けトリコット、縫い糸など、従来は合繊が主流だった用途でテンセルの採用が拡大している。

 こうした動きは、素材開発の発想の前提を根本的に変える可能性がある。歴史的に見て繊維素材の開発は、合繊が天然繊維の物性や特性を模倣・再現する方向で発展し、やがて独自の機能性を実現してきた。ところがここに来て、天然由来系繊維が合繊の機能を模倣・再現することで“合繊代替”を目指す開発が加速する。

 典型例が、ダイワボウの撥水(はっすい)レーヨン「エコリペラス」。レーヨンは従来、吸水性の高さを強みとして打ち出すのが一般的だったが、エコリペラスはあえて撥水性を持たせることで、例えば紙おむつ向け不織布など疎水性が必要な用途の開拓を視野に入れるなど、やはり狙いは“合繊代替”だ。

 紙おむつの原料組成はポリエステルやポリプロピレンなど合繊100%が一般的だが、世界的に脱プラスチック・脱合繊の流れが加速すれば、グローバル展開する大手紙おむつメーカーなどが紙おむつの原料に占める合繊比率引き下げに動く可能性がある。そうした動きに対応するため撥水レーヨンという発想が生まれる。

 スポーツ・アウトドア用途でも天然由来系繊維で合繊代替を狙う動きが強まる。オーミケンシは調温機能を持つレーヨン素材の提案を強化しており、レーヨンの生分解性と合わせて打ち出しを強める。同社のレーヨンブランド「ホープ」のプレミアムラインである「ホープ極」で生分解性を高めたタイプの開発も進める。

 レーヨンメーカーだけでなく、綿紡績や毛紡績も同様の動きを見せつつある。レーヨンや綿、ウールなど天然繊維・天然由来繊維に機能性を付与することで合繊の機能をどこまで代替できるか。素材開発の発想が大きく変化しようとしている。