帝人/AFRWを本格展開へ/一般建築物にも広げる

2019年01月10日 (木曜日)

 帝人は、木造建築用AFRW(アドバンスド・ファイバー・レインフォースド・ウッド)の本格展開に入る。高機能繊維強化複合材料を木材に貼り合わせた集成材で、梁(はり)などに用いると建築物の耐久性や意匠性が向上する。1号物件の建設も始まり、2019年度から20年度にかけて一般建築物などへ広げる。

 AFRWは、炭素繊維をはじめとする高機能繊維を用いて建築用木材の剛性などを高めた集成材。炭素繊維を使用した集成材(CFRW)は木材の2倍以上の曲げ剛性を付与することが可能になる。そのほか、軽量化や信頼性の向上、寸法安定性、基礎工事の簡略化などが期待できる。

 コストは、剛性を2倍に高めると数割アップとなるが、柱や梁の数が減らせるため、トータルでは大きく変わらないと言う。現状は剛性を上げることに主眼を置いているため炭素繊維を用いているが、「今後はアラミド繊維の活用も出てくる」(アラミド事業本部ソリューション開発部)。

 AFRWを使用した世界初の建築物を同社の東京研究センター(東京都日野市)の敷地内に建設。この建築物は国土交通省の「平成29年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択された。完成後は前田建設工業とAFRWの接着安定性や振動時の耐久性などの実証実験を行う。

 ソリューション開発部は「18年度中に1号物件が完成する。今後は帝人以外の物件を増やしていくが、2号物件の建設は19年度か20年度になる」と予想。販売方法についてはまだ明確には定まっていないが、「さまざまな企業との連携を模索しながら商流を作り上げる」方針と言う。