東レ 不織布事業部/原反販売に意欲/短繊維高機能不織布で
2019年01月18日 (金曜日)
東レの不織布事業部はナイロンナノファイバーやポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維「トルコン」などの短繊維で吸音材、遮炎材向け不織布の開発を強化している。高機能素材で商品化した短繊維不織布の原反販売をにらみ、両分野に向けた商品開発、スペックインを急ぐ。
同部は紙オムツ向けや工業資材向けにポリプロピレンやポリエステルのスパンボンドを展開しており、短繊維不織布のゾーンには主にファイバー部門がポリエステルなどをわた売りで展開してきた。同部は、短繊維不織布を原反で販売するための商品開発と販促を進めており、日本バイリーンとの連携を通じ吸音材、遮炎材などをターゲットとする共同開発に力を入れている。
吸音材では、ナイロンナノファイバーをカットした短繊維と他の短繊維との複合品、ナノファイバーによる不織布と他の短繊維不織布とを貼り合わせた商材でニードルパンチを中心とする商品群を開発してきた。
この2年間で自動車メーカー、ティア1(1次請け)との関係が深まり、「そこそこの反響を得ている」(松下達不織布事業部長)と言う。
既存の吸音材とは異なるハイスペック品のため現在、使われている商材の置き換えにはならないとしており、「意味のある複合品、高次加工品で新しいサプライチェーンを構築したい」と意欲を示している。
一方、遮炎材では、PPS繊維トルコンとポリアクリロニトリルによる耐炎化糸で「ガルフェン」を開発している。
スポット的な商売ではあるものの、ガルフェンによる短繊維不織布や織物を今年度から航空機のシート用クッションの保護材向けに販売をスターさせた。
ガルフェンに炎を近づけるとトルコンが溶け耐炎化糸を被覆するように膜化する。膜によって酸素が遮断されるため、耐炎化糸もトルコンも炭化し炎を遮断するという。
ガルフェンでは、2016年に取り組みをスタートさせて以降、「少しずつ評価され始めている」としており、今後は鉄道のシート材、難燃規制のある海外の業務用家具などの用途へもアプローチし本格販売を目指す。