南通で織物3倍増設/80億円投じ月産750万メートルに
2001年10月24日 (水曜日)
東レは23日、中国江蘇省の長繊維織物生産子会社、東麗酒伊織染南通(TSD)に月産500万メートルの新工場を建設、生産規模を3倍に拡大すると発表した。投資額は5億4700万元(約80億円)。既存工場はポリエステルの中肉厚地だが、新工場はポリエステルとナイロンの薄地高密度織物で、世界貿易機関(WTO)加盟後にさらに増加が予想される欧米向けスポーツ・カジュルウエア用途を狙う。
会見した奥村嘉宏常務によると今年11月から着工し、床面積5万521平方メートルの施設にウオータージェット織機680台、液流染色機35台などを設置する。第1期として03年1月からポリエステル長繊維織物150万メートル、ナイロン長繊維織物100万メートル、第2期として04年9月から同規模の生産を始める。この結果、既存工場と合わせた能力は750万メートル(ポリエステル550万メートル、ナイロン200万メートル)になる。
新工場で使う原糸は、ポリエステルを隣接する東麗合成繊維南通(TFNL)から、ナイロンをインドネシア・トーレ・シンセティクス(ITS)からそれぞれ調達する。
生産品種はスポーツ・カジュアル向けの薄地高密度織物で「日本ではコストが合わない定番品だが、中国では生産できない高品質品」(奥村常務)。ポリエステルでは1メートル1~1・5ドル(増値税込み)が中心価格帯になる見込みで、ローカル企業品より2割程度高くなる。
増設分は中国の大手スポーツアパレル、欧米のスポーツアパレル・SPA(製造小売り)と取り組んで、新しい商流構築を目指す。計画では6割が欧米向け中国縫製、4割が内需となる。
新工場建設資金は、東レからの増資と現地邦銀からの借り入れと半々で賄う。現状6億6000万元の資本金は9億4200万元に増え、出資比率は東レ76・78%、サカイオーベックス23・22%となる。
TSDの売上高は今年度40億円強の見込みで、新工場がフル稼働すると70億円が上積みされる。経常損益は今年度黒字浮上するが、02、03年度は新工場立ち上げ負担で赤字。04年度から黒字化を計画する。現状581人(うち日本人16人)の従業員は3倍増設後も1078人(日本人22人)に抑えコスト低減を図る。