菅公学生服/一進一退も着実に前へ/教育ソリューションで事例作る

2019年02月04日 (月曜日)

 学生服製造最大手の菅公学生服(岡山市)では、教育ソリューション事業が広がりつつある。学校を中心に細かい案件も含めて80件ほどの取り組みが進行中で、学生服の販売だけでなく、“ひとづくり”のプログラムを通じて学校との関係を深耕。曽山紀浩取締役開発本部長は「一歩進んでは二歩下がる感じだが、着実に事例ができつつある」と話し、事業拡大に向けた動きを加速する。

 同社は2016年に学校教育のサポート事業を本格化するため、カンコー教育ソリューション研究協議会(東京都渋谷区)を設立。毎年10~12月に各地で開く総合展「スクールソリューションフェア」の内容を17年に一新し、新商品を最初に披露する展示から、教育ソリューションの取り組みを先に紹介する形に変えた。

 18年のフェアではさらに踏み込み、教育ソリューションとしてこれまで取り組んできた事例や独自の教育プログラムを紹介した。地域、学校、企業が連携しながら、その学校にしかない魅力作りに取り組む、れいめい中学校・高校(鹿児島県薩摩川内市)の事例などを展示し関心を集めた。

 教育プログラムでは、「Ancs(アンクス)プログラム」や「カンコーNCSプログラム」といった、昨今関心が高い“非認知能力”を育むプログラムを紹介。時間割作成補助システムなど教育現場の課題解決につながる取り組みも披露した。中でも部活動の意義を見つめ直すプログラム「部活のチカラ」への関心が高かったと言う。

 フェアへの来場者は毎年増える傾向にあり、18年も前年比で2~3割増加。岩井聡教育ソリューション事業本部長は「会場にずっといる先生や、同じ学校でも違う先生が交互に来るケースが非常に増えている」と話す。

 教育ソリューションを単に制服モデルチェンジへつなげるのではなく、「こういう学校像を目指すから、それに沿った制服に変えたいという要望に応える」(曽山取締役)ような形でのビジネスを模索。学校だけでなく行政から声がかかるケースもできつつあり、「小さな成功事例を作りながら、価値ある事業に育てる」(岩井教育ソリューション事業本部長)と、長期的な視点に立って事業の拡大に取り組む。

〈ひとづくりシンポジウム開催〉

 菅公学生服のカンコー教育ソリューション研究協議会(東京都渋谷区)は9日、「新しい時代を生き抜く“非認知能力”未来のひとづくりシンポジウム」を御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(同千代田区)で開く。

 社会や産業構造の変化が進む中、子供たちが自立し主体的に人生を切り開くために必要となる資質・能力として“非認知能力”が重要視されつつある。その非認知能力にスポットを当て経済学・教育学・経営の視点から解説する。

 パネルディスカッションには菅公学生服の尾﨑茂社長をはじめ、大阪大学大学院の大竹文雄教授や岡山大学の中山芳一准教授などが参加。非認知能力を高めるコンテンツなど紹介する。参加費は無料。問い合わせはカンコーブランディング室(電話086・898・2520)まで。