東レACS 社長 松田 浩 氏/先進的ソリューション提案/3Dやオーダー対応に重点
2019年02月07日 (木曜日)
東レACSのアパレルCADは、多くのアパレル製造業者から評価を獲得し、高いシェアを誇る。けん引役を務める「クレアコンポⅡ」は、発売以来毎年バージョンアップを重ね、販売も前年比40%増を記録するなど順調に推移している。今回の大阪ミシンショーでは「先進的で実用的なソリューション」を紹介する。松田浩社長に見どころを聞いた。
――販売を伸ばしているクレアコンポⅡは、2018年にVer・5をリリースしました。
「最も新しく、最も進んだ」と自信を持って提案しているアパレルCADシステムです。急激な変化を見せるIT環境に対応し、アパレルの企画・設計工程のさらなる生産性向上を支え、業界トップのシェアを誇るクレアコンポとの互換性や取得した技能・資産を生かすことができます。
伸長が目立ってきたのは17年ぐらいからです。前機種のクレアコンポから移行する顧客が増え、18年にはクレアコンポユーザーの2割がクレアコンポⅡユーザーとなりました。旧製品は4月で販売を終えるため、今年は3割に引き上げたいと思っています。ゆくゆくは5割が目標です。なお、旧製品のサポートは2022年まで行います。
――大阪ミシンショーの貴社の見どころを教えてください。
イチ押しは3Dとオーダーソリューションです。3Dでは「クレアコンポⅡ パターンマジックⅡ3D」の最新バージョンを紹介します。先行しているコンピューターグラフィックス(CG)系3Dは専門的で操作が難しいため習得に時間がかかりますが、パターンマジックⅡ3Dはパタンナーが直感的に使えて1日あれば習得できます。圧倒的なスピードでトワルのデジタル化が可能なことも特徴です。価格も他社CG系3Dの10分の1に抑えました。
オーダーソリューションでは、最新のIT環境に対応した“オーダー衣服設計自動化エンジン”の最新版「クレアコンポⅡ MFⅡ」を打ち出します。豊富な経験を背景にした技術コンサルによって、顧客が持つそれぞれの補正ノウハウの早期システム化が可能であるほか、顧客に固有のルールがない場合は東レACS標準補正ルールを提供します。注目を集めている3Dデジタルボディースキャナーやスマートフォンの採寸ツールとの連携を実現するサービスも展開します。2月下旬に発売予定です。
――クレアコンポⅡの最新バージョンは。
ルーラーやGR処理、芯地自動作成など、さまざまな工程で役立つ機能を搭載し、定型作業を効率化する機能も追加しました。アパレル向け帳票連携システム「サイフォームマジック」では、縫製仕様書の作成効率化から業務改革に進展させる事例を紹介します。次期バージョンの「サイフォームマジックⅡ」ではクラウド環境への対応やウェブ対応も計画しています。工場向けIoT(モノのインターネット)「工程タクトタイム管理システム」プロトタイプの参考出品も行います。
展示の仕方にも工夫を施します。大阪ミシンショーは近畿以西の顧客にわれわれの製品を見てもらう貴重な機会なのですが、既存の顧客は別にして、「東レACSのブースには入りにくい」という声があったのも事実です。これまでは営業部隊が中心となって企画してきましたが、今回はマーケティング推進室が主体となって動きました。入りやすいブースにすることで、新規顧客をどんどん取り込んでいきたいですね。
――国内企業の投資意欲はどのように捉えていますか。
衣料品市場が勢いを欠く中で、投資に二の足を踏む企業は少なくないと思います。中小企業はコスト削減にも敏感ですが、パターンマジックⅡ3Dやオーダーソリューションの新製品はコスト削減に資するものであり、そうしたメリットを積極的にアピールしていきます。
海外販売も今後の大きな課題です。日本から進出した企業ではなく、現地企業に提案していくことができればと考えています。