繊維ニュース

技術の眼

2019年02月13日 (水曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こすような重要な技術になりうるかもしれないものにスポットを当て、紹介する。

〈YKK/パンツシルエット奇麗に〉

 パンツのシルエットをより奇麗に見せる。そのため、ファスナーテープを細くしたのがYKKの「フラットニット細幅テープ仕様」。

 これは新縫製技術によるもの。パンツのフロント部は従来、生地と生地にファスナーを挟んで縫製するが、フラットニット細幅テープ仕様は、生地の上に置いて縫製するため、縫い代の重なりを軽減できる。持ち出しの分割裁断も不要になる。縫製時には専用のミシン押さえとスライダー通し治具の使用が推奨されている。

 生地部が薄くなることで、洗濯後の速乾効果も期待できる。テープの総幅はこれまでの約25㍉から約9㍉に細くなった。「細くても強度を出すため、テープを補強できる編み組織にした」

 販売は100メートル単位。昨年の「YKKファスニングクリエーション・フォー・2019」でも紹介され、「新しいモノ作りに興味のある方が関心を持たれた」と言う。

〈東和/分離型スマートウエア開発〉

 制服縫製の東和(福島県本宮市)は、災害救助の現場で着用者の生体情報を発信するスマートウエア「クルフ」を開発し、4月から試験販売を4月に開始する。クルフは、ウエアから電極パッドと生体センサーを着脱できる構造を施すことで、着用時のストレスを低減し、洗濯もしやすいようにした。スマートウエアの投入を機に、医療分野への進出を図る。

 体に電流を通すための電極には、フィルム状のわた入りパッドを採用した。締め付けがなく肌に密着するため、心拍数、呼吸数、体温といった生体情報を安定的に感知する。電極パッドは、生体情報を測定するセンサーとともにウエア本体から取り外せる。この分離可能な機能で、2018年に特許を取得した。

 センサーから獲得した生体情報は、無線通信により複数のパソコンやスマートフォンの画面で共有するが、クラウド・サービスを取り入れれば遠隔操作もできる。

〈コックス/ECでのサイズ不安解消〉

 イオングループのアパレル事業会社コックス(東京都中央区)はこのほど、同社公式オンラインストアに、手持ちの服とサイズ感を比較できるシステム「バーチャサイズ」を導入した。これにより購入時のサイズに対する不安を解消し快適な買い物環境を提供する。

 同システムはバーチャサイズ社(東京都渋谷区)が開発したもの。サイズ登録した手持ちのアイテムや、過去に購入した商品の選択から、最適なサイズや好みのフィット感を見つけられる。バーチャサイズ内に登録した他ブランドの服とも比較できる。

 コックス公式オンラインストアの商品詳細ページにある「サイズをチェック」ボタンからオンライン試着室を立ち上げると、見ている商品の画像とイラストが表示される。次に比較する商品を選択、または手持ちのアイテムのサイズを入力すると、画面中央にストアの商品と手持ちの服が重なって表示され比較できる仕組みになっている。

〈滝善/余った糸をネットで販売〉

 ニット糸製造卸の滝善(愛知県一宮市)はサステイナビリティー(持続可能性)の一環として、余ったり、使い切れなかったりした糸をネットで販売する。複数の糸を組み合わせ、アップサイクルの商品として提案。電子商取引(EC)サイト「モンキーヤーン」で売り出した。

 以前までは余った糸を破棄することもあったが、有効活用や再利用するため、2016年にサイトと同名のヤーンブランドを設立。これまで、さまざまなイベントや展示会で糸に加えて、その糸を使ったネクタイや帽子などの小物を販売しており、一定のファンが増えてきたため本格的に販売することを決めた。

 付加価値を高めるため、数種類の糸を組み合わせて販売する。ファンシーヤーンから国内糸、定番糸、イタリア糸までと多岐に渡る上に原料も多種多様。それらを組み合わせたりするため、他社にはないような個性的な糸が並ぶ。サイトでは混率や番手などの表記も明確にしており、常時100点以上の商品を掲載する。

〈大垣扶桑紡績/新たな長短2層構造糸〉

 大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)は、カチオン可染ポリエステル短繊維とウールの混紡糸「ルミレットウール」とスパンデックスとの複合による新タイプの芯鞘2層構造糸を開発した。

 この2層構造糸は、コアヤーン設備をベースに独自ノウハウによって開発した。芯部分のスパンデックスが中央に真っすぐ配されており、鞘部分のカバー率95%以上を実現しているのが特徴。カバー率が高いためスパンデックスを使用しても染色時の問題がない。

 通常は芯部分の合繊長繊維と鞘部分の紡績糸を交撚した2層構造糸は、芯部分の合繊長繊維がよじれており、カバー率は70%程度にとどまる。

 鞘部分のルミレットウールは常圧カチオン可染のため、ウールとの相性が良く、ソフトで上質な風合いを持ち、抗ピル性もある。しかも、独自のノーカットウール方式を採用し、ウールのチクチク感を軽減し、膨らみ感がある。これにスパンデックスとの2層構造でストレッチ性も付与した。

〈豊島/本格ウールライク糸投入〉

 豊島の一宮本店一部は19秋冬向けから、ウールライクなポリエステル長繊維「ウールナット」を投入する。通常のポリエステル長繊維では難しいとされる、ウールの毛羽感、膨らみ感を表現できることから“プレミアム・ウーリー・ポリエステル”として打ち出す。

 19秋冬シーズンから紳士服地、婦人服地で採用も既に決まった。トルコの合繊メーカーが独自の糸加工を施し生産する。

 糸種は433デシテックス(T)、844Tの2タイプ。この原糸を尾州産地企業で織布・加工を施すことで、ポリエステル長繊維100%使いでツイードなどの紡毛織物をはじめリアルなウールの表現を再現できる。

 イージーケア性や抗ピル性にも優れることから、快適性とウールの表情を両立する「次世代ポリエステル長繊維」として訴求。アウターだけでなく、カジュアル、ユニフォーム、アウトドア・スポーツウエアなども狙う。