特集 第16回ジャパン・ヤーン・フェア(2)/JY 高付加価値の糸が一堂に

2019年02月15日 (金曜日)

〈細番から太番のモール糸/青山繊維加工〉

 青山繊維加工(愛知県一宮市)は、細番から太番までの「カラーモール」を展示する。豊富なカラーもそろえており、多彩なバリエーションを訴求する。

 毛番で0・5番から10番まであり、それぞれ10~13色展開する。花糸は先染めのため柔らかな風合いがある上に、深みのある色合いが特徴。

 芯糸に融着糸を組み合わせることで、花糸が抜けにくいという利点もある。

 10番のカラーモールは専用のモール機で製造する。軽さを求める市場ニーズに応じて昨年開発した。衣料向けだけでなく資材向けにも提案を強める。

 ほかにも和紙糸や2ミリ、4ミリ幅にカットしたスリット状の和紙なども出品する。

〈浅野撚糸/和紙でスーパーゼロ〉

 浅野撚糸(岐阜県安八町)は、和紙を使った特殊撚糸「スーパーゼロ」を提案する。スーパーゼロの製法により、和紙でありながらもストレッチ性やソフトな風合いに優れる。

 スーパーゼロは同社のヒット商品のタオル「エアーかおる」に使われている。元撚りの紡績糸と水溶性糸を合わせ、逆方向へ2倍撚り、水溶性糸を溶かすことで、逆撚りが元撚り方向に戻ろうとする反動により繊維間に隙き間が生じ膨らみを持つ。

 この製法を生かすことで和紙でもストレッチ性を利かせることに成功。さらに、従来の和紙は製織段階で糸切れが発生することが多かったが、ストレッチ性を付与したことで生地にしやすくなり、生産効率の低下を防げる。

〈旭化成・旭化成アドバンス/イタリアやトルコ製綿糸〉

 旭化成と旭化成アドバンスは共同ブースを構える。旭化成はホールガーメント(WG)横編み機に対応したカバリング糸「ベービーフィット」、旭化成アドバンスはキュプラ繊維「ベンベルグ」を使った加工糸、混紡糸などさまざまな独自糸を提案しながら、ベンベルグの素材特徴に加えて、エコロジーやサステイナビリティー(持続可能性)なども訴求する。

 さらに旭化成アドバンスは今年1月に三菱商事ファッションから事業継承した輸入綿糸も新提案する。イタリアの紡績、アルビニによるギザ、「海島綿」などの超長綿使いやトルコの紡績、ガランティのメランジ糸などを披露する。旭化成のベービーフィットはストレッチ糸でありながら、WGでの工程性能が高く、生地が柔らかく仕上がるのが特徴という。

〈泉工業/生分解性ラメ糸など多彩な新商品〉

 ラメ糸メーカーの泉工業(京都府城陽市)は、このほど開発した生分解性ラメ糸「エコラメ」を披露する。そのほかにも多彩な新商品を紹介し、これまであまりラメ糸が使われていない分野への提案を進める。

 エコラメはフィルムに木材パルプを原料とするセルロースフィルムを採用した透明タイプ。生分解性があり、ファッションに求められる意匠性と環境負荷低減を両立した。現在、着色タイプの開発にも取り組む。

 そのほか、インテリア向けに光を拡散反射するラメ糸「マットペット」、製造工程でホルマリン不使用によるゼロホルマリンを実現したベビー衣料用ラメ糸「ゼロサキ」、熱で形状が変化する「3Dジョーテックス」など多彩な新商品を披露する。

 ヤーン・フェアでは「はじめてのラメ糸」をテーマに打ち出す。これまでラメ糸を使用することが少なかった用途・分野の来場者へラメ糸に関する情報提供を重視。“相談できるラメ糸メーカー”としてオーダーメード、カスタムメードも含めた対応力で需要の掘り起しを進める。

〈伊高撚糸/ノーカットモール訴求〉

 伊高撚糸(愛知県江南市)は人気商品の「ノーカットモール」を訴求する。ループ状の意匠撚糸のため毛羽が抜け落ちることがなく扱いやすい上に、モールのようなソフトな風合いとリーズナブルな価格が特徴だ。モールの代替として使われる擬似モールは安さが魅力だが、生地にするとどうしても風合いが固くなりがちだった。その点、ノーカットモールはマイクロファイバーを使いソフトさを追求した。

 昨年から販売を始め、毛番で8番と16番を展開。インテリア向けだけでなく衣料向けの顧客からも注文が入るようになった。リピートも増えているという。通常のモールも40点ほど展示する。

〈大垣扶桑紡績/新たな芯鞘2層構造糸〉

 大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)は、カチオン可染ポリエステル短繊維とウールの混紡糸「ルミレットウール」とスパンデックスの芯鞘2層構造糸を新たに打ち出す。芯部分のスパンデックスが中央に真っすぐ配され、鞘部分のカバー率が95%以上(通常の交撚糸は約70%)を実現した。カバー率が高いためスパンデックスを使用しても染色時の問題がない。

 鞘部分のルミレットウールは常圧カチオン可染ポリエステルがウールと相性が良く、ソフトで上質な風合いを持ち、抗ピル性もある。独自のノーカットウール方式でウールのチクチク感も軽減し、膨らみ感がある。これにスパンデックスと2層構造で伸縮性も付与した。JYでは梳毛と紡毛の複合糸「レボール」や麻調ポリエステル100%紡績糸の新タイプも提案する。

〈大津毛織/獣毛混で一格上の紡毛糸〉

 紡毛紡績の大津毛織(大阪府泉大津市)はカシミヤ・ウール混とアンゴラ・ウール混の紡毛糸を提案する。市場が二極化する中、他社があまり手掛けていない獣毛とウールの混紡糸で一格上の高級織り糸として提案する。

 カシミヤとアンゴラの混率はそれぞれ10%、20%、30%のタイプを用意し、需要家が必要とする風合いや品位、価格帯に幅広く対応する。紡績は中国子会社が担うが、獣毛の最大需要国である中国で原料調達することで高品質な原毛を確保していることも強みとする。

 セーター向けニット糸では2018年に発表したウール・綿・ナイロン混紡毛糸「コットンジロンラム」の販売が本格化した。混率は綿50%・ウール30%・ナイロン20%となる。ウール・綿の風合いの良さと抗ピリングが特徴。ナイロンで強度を高めた。わた染めで20色を展開する。

〈オーミケンシ/環境に優しい機能レーヨン〉

 オーミケンシは“暮らしに役立つ”をテーマに美容、快適、自然という三つに分けて機能素材をアピールする。今回はレーヨンならではの生産面の持続可能性や環境への優しさを強調する。

 “自然”のカテゴリーでは植物や果実の天然オイルを配合した機能レーヨン「ボタニフル」シリーズを紹介する。アボカド、紅椿、ヒマワリなどの成分を含んだ混紡糸をストールやハンカチといった用途へ発信する。

 “快適”では再生ポリエステルと抗菌・防臭効果がある機能レーヨン「クラビオン」を提案する。レーヨンの生分解性と再生繊維を使った環境配慮型素材で、スポーツウエア用途に提案する。

 “美容”では肌のpHを弱酸性に調整するアクリレート繊維「サプリ」とスクワランを練り込んだレーヨンとの混紡糸を紹介し、靴下やインナーでの採用を呼び掛ける。

〈河辺/ニット糸、彩り豊かに〉

 繊維専門商社の河辺(奈良県大和高田市)は今回、初めて単独でブースを構える。1971年の創業以来培ってきた、全国の紡績とのネットワークを生かした糸の提案力、顧客のニーズに応える開発力をアピールする。

 同社は靴下生産量日本一を誇る奈良産地に本拠を持つとあって、靴下用ニット糸が強み。ブースでは見本帳と別注品、計35種を紹介する。靴下に限らずニット製品全般をターゲットに新たな需要を探る。

 独自開発のウーリーナイロン「ファミロン」、オーガニックコットン100%、ウール・綿混、綿・麻混、シルケット糸、スラブ糸、バルキー糸、ラメ混糸、ネップ糸など品ぞろえは多彩。糸種は10~30番単で、累計色数は8941色に上る。QR対応にも力を入れており、隣接する広陵町の配送センターから県内は即日対応も可能という。

〈岐セン/ソフトで高反発「エドバス」〉

 岐セン(岐阜県瑞穂市)は今回のJYが2度目の出展となる。得意の複合素材など向けの染色加工技術を紹介し受注拡大、新規顧客開拓を狙う。今回展では「エドバス」、熱水でも撥水(はっすい)性を持つ「コモガードホット」、吸湿冷感、刺激冷感を持つ「メイクールMAX」の3加工をメインに打ち出す。

 中でもエドバスは特殊非ウレタン系樹脂を用い独自の加工技術を施すことで、ソフト感やドレープ性を持つ一方で、高反発性もある。シワになりにくく、撥水などの機能加工との併用もできる。

 元々は中東民族衣装(トーブ)向けに開発したが、ポリエステル綿混や同レーヨン混織物への加工品で紳士服地・婦人服地向けへの提案も強化。秋冬シーズン開拓の重点素材の一つに位置付けている。

〈北洞/銅線使いでリリヤーン〉

 糸商の北洞(京都市)は銅線を使った横編み用の新原糸や防虫忌避機能を持つポリプロピレン(PP)長繊維をメインに提案する。銅線を撚糸後、リリヤーンにした新原糸は横編みでワンピースを製作。部分的にさびを入れファッショナブルな製品で訴求する。銅線は金網フィルターの残線で、再生率も高いことからサステイナビリティ―(持続可能性)素材としても打ち出す。

 防虫忌避機能を持つPP長繊維は水着で提案し、ファッション性も兼ね備えるレジャー製品での採用を目指す。生地の表側にこのPP長繊維とラメ糸を使い、裏側にはポリエステル長繊維を配した。海水浴や川遊びの際の着用シーンを想定する。JYではこの2素材に絞り込みながら「常に斬新で新しいモノ作りを追求する姿勢」を示す。

〈近藤/和紙にストレッチ性付与〉

 近藤(愛知県一宮市)は新商品として和紙にストレッチ性を付与した糸を訴求する。ほかにもサステイナビリティー(持続可能性)や機能性をうたった商品も出品する。

 新商品は和紙と合繊を複合させたカバードヤーンで、生地の編み立て性を向上させた。春夏向けの素材として展開する。

 サステイナビリティーの商品では、リサイクルポリエステルを中心に、オーガニックコットンやキュプラを複合させた糸を展開する。

 機能性の商品では、ファンシーヤーンに保温性や撥水(はっすい)性、防汚性などの機能を付与。従来から展開しているものに機能加工で付加価値を高めた。

 展示方法は人気商品のミンク調のエコファーを使った小物なども並べる。

〈ケケン/LED変退色現象に対応〉

 ケケン試験認証センター(ケケン)は、ウールの良さを来場者に訴求するとともに、「カシミヤの産地判別システム」を紹介する。LED光源によるウールの変退色(漂白)現象への新たな試験方法もアピールする。

 NTTと共同開発したカシミヤの産地判別システムは昨年11月の発表以来、カシミヤ関係者が注目している。獣毛の鑑別、繊維長・太さの試験、混用率試験に加え、第4の試験としてカシミヤの生産地を推定する。

 LED光源の耐光試験も、試験依頼や問い合わせが多い。「ウール製品をLED電灯の下に置くと、薄い色の場合、生成りの色が白くなる。ウールのアミノ酸由来の色が飛ぶ現象」に対応する。

〈カワボウテキスチャード/尾州発信のウールライク糸〉

 カワボウテキスチャード(岐阜県羽島市)は“尾州産地から発信する”ウールのようなポリエステル100%長繊維「尾糸(ビート)」をメインに打ち出す。ポリエステルの機能性とウールの風合いを併せ持つ独自のファンシーヤーンで、原着糸・カチオン可染糸・レギュラー糸の三者混など8品種をラインアップする。

 同社は天然繊維ライクな合繊長繊維で先行するが、特にビートの基幹素材「TX450YCD」は独自製法によるもので、一線を画した糸と位置付ける。現在、需要に応じきれないほど好調という。

 今回展では糸売りの原料部だけでなく、テキスタイル部、資材部の需要家に合わせた展示も行う。

〈木曽川染絨/春夏強化で綿の草木染め〉

 木曽川染絨(岐阜県笠松町)は、サステイナビリティー(持続可能性)を意識し、草木染めを施した綿100%のニット生地を展示する。現状、秋冬向けの加工が大半を占めるが、春夏向けを強化したいと言う。

 クチナシやザクロ、柿渋など豊富な種類の草木染めをそろえる。ナチュラルなアースカラーが特徴。オーガニックコットンを使った生地もあり、生地から染色までエコにこだわった商品として訴求する。

 ほかにも天然由来のオイルを使った特殊加工もアピール。肌のエイジングケアといったスキンケアの効果があるとされるツバキオイル、ローズヒップ油、サクラの花のエキスなど14種類ラインアップする。

〈サイボー/環境配慮に焦点当てる〉

 サイボーは、環境配慮に焦点を当てた糸を前面に打ち出す。リサイクルポリエステルを使った紡績糸のほか、植物由来エチレングリコールを用いたポリエステルを紹介する。84デシテックス(T)と167Tを用意し、ユニフォームやスポーツ分野に提案するほか、ファッション用途にも広げる。

 MVSによるポリエステル紡績糸の提案も強める。中空糸やフルダル糸、リサイクル糸などを用いてバリエーションを広げているが、「ポリエステル短繊維は油分が邪魔をして、ただでさえボルテックスでの紡績は難しい。機能を持った糸の投入で付加価値を高める」とする。リネン複合もそろえる。

 そのほかでは、麻素材も数点並べる予定で、研磨布などに使われるサイザル麻も見せる。

〈三幸毛糸紡績/鮮やかなグラデーション〉

 三幸毛糸紡績(名古屋市中村区)はアルパカやモヘアなどを中心に、色鮮やかなグラデーションカラーのタム糸やスラブ糸を提案する。

 キッドモヘアを使ったタム糸「LPL」は暖色系を中心に6色追加し、計30色ほどそろえる。かすり染めで豊富なグラデーションを訴求する。

 アルパカ使いのタム糸「キャメリド」もグラデーションが特徴で10色展開する。製造方法で工夫し柔らかな手触りを実現した。アルパカ独特のぬめりのある風合いも併せ持つ。

 飛びスラブ糸「ドルフィンC」は部分的に芯糸が見えることで見た目の面白さにこだわった。ウール・ナイロン混でトップ糸、かすり染め糸で展示する。

〈島精機製作所/効率化にデザインシステム〉

 島精機製作所は3Dデザインシステム「SDS―ONE APEX3」を展示し、最新機能を紹介する。

 SDS―ONE APEX3は織物や丸編み、横編み、パイル関連などの高品位なバーチャルサンプル、配色検討やプリントデザインの作成ができる。これにより商品企画の効率化が進み、リードタイムを短縮できる。サンプル作成の費用や時間、材料を削減することも可能で、プレゼンテーション力の強化にもつながる。バーチャルサンプルは、電子商取引(EC)サイトでの活用や先行受注などで量産枚数を制御するのにも役立ち、サステイナブル(持続可能な)企業活動にも貢献する。

 そのほかインレイ柄の編成による最新生地サンプルや「ホールガーメント」のニットウエアも展示する。

〈信友/メキシコのピマ糸〉

 信友は、メキシコで栽培されたピマ種の超長綿使いの糸「ソルピマ」をはじめ、「コーデュラ」・綿混糸、渦流精紡機「MVS」で紡いだ糸などを出品する。国際的なフェアトレード認証ラベルを使用できることもアピールする。

 ソルピマに使用する超長綿は、東洋棉花がメキシコの農場に委託して生産したもの。同社が全量を独占的に買い付け、信友のみに供給。紡績工程は信友が管理する。この仕組みにより、トレーサビリティー(追跡可能性)を確保する。

 メキシコ・ピマは、他国のピマ綿に比べ、繊度がやや太い。このため、超長綿でありながらハリとコシがあるのが特徴。メキシコ大使館商務部は、メキシコの生産者の安定した生活につながるとして、ソルピマ事業を後援している。

〈新内外綿/見本帳、20年ぶり刷新〉

 新内外綿は、20年ぶりに見本帳を刷新する。これまで1冊で主要商材を紹介してきたが、新たな見本帳では掲載する糸の色や番手の種類を大幅に増やす。素材、糸の構造などで、より細かく分けて、15冊1セットにする。認知度の高い杢(もく)糸の、多彩な品ぞろえをアピールする狙い。

 新たな見本帳は、まず千冊を発行する。15冊の中には「ボタニカルダイ」シリーズ、「グレー杢」シリーズ、「ビスコチェント」シリーズ、「MVS」シリーズ、「スラブ」シリーズなどがある。糸種によっては太番手では5番から細番手では100番まで対応する。

 15冊のうちから、顧客が必要とする冊子だけを提供することも可能。需要の小口化、多品種化が進む中、新たな見本帳で、多様な顧客に幅広い提案を素早くできるようにする。

〈近藤紡績所/芯ウール、鞘綿の2層糸〉

 近藤紡績所(名古屋市中区)は芯ウール、鞘コットンまたはハイ・ウエット・モジュラスレーヨンから成る2層構造糸「KURUMI(くるみ)」を訴求する。ウールが持つ吸放湿性・消臭性・保温性や弾力性などを生かしつつ、チクチク感などの欠点を解消するため、独自製法により新たな2層構造糸を商品化した。

 くるみのウール部分にはエキストラファインメリノ、綿もピマ綿を使う。糸種は20~50番手までをラインアップする。

 JYではその他、豪州のBMPコットン100%の超甘撚カード糸「ほたか」や「アメリカン・シーアイランドコットン」使いなども提案する。

〈タオルヤーンクラブ/純国産のタオルを〉

 信友と紡績9社で構成するタオルヤーンクラブは、紡績から製織、仕上げまで全て国内で行う“純国産”のタオル作りを強みとする。さまざまな素材原料や製法によるタオル糸を20品番そろえる。

 今回展は綿100%回帰をうたい、繊維が太くて長いメキシコ産のピマ綿を使った糸を訴求。この内、「ソルピマゼロ」はソフトな風合いとボリューム感が特徴。「ソルピマエアー」はソフトさや吸水性に加え、中空糸で軽量感にも優れる。

 同クラブを立ち上げ今年で4年目を迎える。それぞれ独自の技術を持つ紡績メーカーが9社も集まっているため、20品番の中から素材や製法を変えて組み合わせることもできる。

〈高田編物/アミぅ/独創的な新商品〉

 高田編物/アミぅ(愛知県江南市)は新商品として「リバースリリヤーン」「プッシュアウトリリヤーン」「ツイストリリヤーン」といった独創的な新商品を展示する。

 リバースリリヤーンはリリヤーンの製造工程で裏側が表側になるように編み込んだ。綿だと擬麻加工のような風合い、ポリエステルだと独特なザラザラとした手触りが生まれる。

 プッシュアウトリリヤーンは、2重構造のリリヤーン。中の糸が外に吹き出すように製造することで毛羽立ったブークレー調を表現した。

 ツイストリリヤーンは撚りを入れながら編むため毛羽が抜け落ちにくい。後の工程が省けるというメリットもある。

〈タロダ/さまざまな天然ライク糸〉

 糸商のタロダ(石川県内灘町)は備蓄販売するカラーブック帳「JTC」シリーズに加えて、天然繊維ライクな合繊長繊維や長短複合糸、さらに原着糸などによる別注を提案する。

 同社は石川県のかほく産地の細幅織物向けを主力としながらも、他産地向けを含めて幅広いニーズに対応する特徴を持つ。JY出展は今回が9回目。顧客開拓も進み、認知度も高まった。一方で、JTCシリーズに続く、次の一手も重要として、要望が増えている天然繊維ライクな合繊長繊維などを新たに打ち出す。

 JYでは天然繊維ライクな長繊維のほか、長短複合糸やその意匠撚糸、さらに試験的に原着糸(15色)を使った複合加工糸などを衣料だけでなく、資材を含めて提案する。

〈帝人フロンティア/差別化「エコペット」もラインアップ〉

 帝人フロンティアは今回が4回目の出展。この間、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」の売り込みに力を入れてきた。

 前回展からソロテックス短繊維の打ち出しを強めており、ウール混の複合糸で婦人服地や婦人ニット向けの商売を開拓できたという。

 今回展でもソロテックス長・短繊維を中心にブースを構成しており、長繊維ではカチオン可染糸との混繊糸、蓄熱タイプ「同サーモ」などで、短繊維では綿混やウール混などで商品ラインを充実させた。

 エコを求める流れが強まっていることに対応し、再生ポリエステルによる提案にも力を入れる。ペットボトル再生タイプやケミカルリサイクルによる「エコペット」も打ち出す。

 かねて販売してきた定番タイプだけでなく、吸汗速乾「カルキュロ」やハイマルチ糸などもラインアップ。中空糸「エアロカプセル」の開発も進めている。スポーツだけでなく、最近は欧州のファッション系の顧客からもエコを求める要望が強まっているという。

〈東洋紡STC/原綿改質で「高機能」と「環境」〉

 東洋紡STCは御幸毛織(名古屋市西区)と共同でブースを構え、「高機能」と「環境対応」を切り口にした糸を多彩に紹介する。

 「高機能」では東洋紡STCが原綿改質による機能糸として超消臭機能糸「@デオ」などを紹介する。資材向けに高強力ポリエチレン繊維「イザナス」「ツヌーガ」も紹介する。

 「環境対応」では特殊紡績による軽量性・かさ高性・保温性が特徴の「エアリーコット」、吸水速乾性に優れる「爽快コット」、タオルに最適な「金魚」などで原綿にオーガニックコットンを採用したタイプを打ち出す。御幸毛織は実績豊富なポリステル・ウール複合の長短複合紡績糸「マナード」でポリエステルに再生ポリエステルを採用したタイプを披露する。

 多彩な機能糸と環境対応素材をそろえることで、新規取引先の開拓に取り組む。

〈滝善/美濃和紙を中心に〉

 滝善(愛知県一宮市)は美濃和紙を使った糸で差別化を図り、エコやサステイナビリティー(持続可能性)を打ち出す。原料やカラーなど多くのバリエーションを備蓄し販売する。

 美濃和紙を使った糸では「ネロ」と「ミギー」を展開する。ネロはレーヨン・綿混で46色、ミギーはポリエステル・綿混で21色そろえる。美濃和紙を使っているためサラッとした手触りがあり、春夏向けとして訴求する。

 昨年から展開している「ハムレット602」はウール30%・ポリエステル70%の60双糸。ウール高騰に対応するためウールの混率を落とした。秋冬向けで訴求し、36色展開する。