紡績の4~12月期決算/衣料品市況の厳しさ鮮明/繊維事業は大幅減収相次ぐ

2019年02月18日 (月曜日)

 大手紡績の4~12月期連結決算が出そろった。繊維事業はダイワボウホールディングス(HD)を除いて大幅な減収が相次ぎ、3社が営業損失となるなど衣料品市況の厳しさを浮き彫りにする結果に。全社ベースの通期業績予想でも下方修正する企業があり、世界経済変調の兆しが鮮明となった。

 厳しい決算が相次ぐ中、気を吐いたのがダイワボウHD。ITインフラ流通事業がリードして全社ベースで大幅な増収増益となり、繊維事業も増収増益を確保した。繊維は各部門とも売上高の拡大による利益増とコストダウンが成果を上げた。

 富士紡HDの繊維事業は減収減益。インナー製品がインターネットなど新規チャネルでの販売拡大が続くが、量販店の衣料品売り場縮小の影響が大きく、定番紳士肌着の販売が減少。糸・生地は販売数量が堅調も原材料費上昇で利益が圧迫された。オーミケンシの繊維事業も原材料コストアップの影響が大きく、減収・大幅減益だった。

 クラボウ、シキボウ、日東紡は繊維事業が営業損失に沈む。クラボウはユニフォームが好調もカジュアル、原糸が苦戦。海外子会社も振るわなかった。シキボウは、ユニフォームが堅調なものの、中東民族衣装向け織物輸出が依然として現地の市況低迷の影響を受けた。日東紡は、芯地が日本、中国ともに好調だったが、繊維事業の営業損失を解消するまでには至らなかった。

 日清紡HDは、18年度から決算月を12月に変更しため、4月から12月まで9カ月間の変則通期決算となる。繊維事業は減収減益だった。形態安定シャツ地やユニフォーム地、化粧品雑貨向け不織布の販売が増加したが、海外向けスパンデックスが低調。海外子会社もインドネシアが堅調もブラジルは原綿高騰の影響と為替換算要因から減収減益だった。

 18年後半から顕著になってきた世界経済の変調の兆しも影を落とす。円高や中国経済の先行き不安など不安要素が増した。こうした中、クラボウと日東紡は通期業績予想を下方修正した。クラボウは、繊維事業でのカジュアル分野や海外子会社の低調、化成品事業での高機能樹脂加工品の伸び悩みなどを理由に挙げる。日東紡はグラスファイバーのうち、電子部品や複合材用途での在庫調整や需要減退を予想に織り込んだ。