繊維ニュース

特集 アジアの繊維産業Ⅰ(8)/わが社のアジア戦略

2018年10月04日 (木曜日)

〈コストと品質の競争力磨く/“外・外ビジネス”拡大へ/日清紡テキスタイル〉

 日清紡テキスタイルは中国とインドネシアに生産拠点を持つ。中国では日清紡績〈常州〉が先染めシャツ地の仕上げ加工を行い、独自の防シワ加工「アポロコット」を手掛ける。一方、インドネシアはシャツ地、ユニフォーム地、デニム生産の主力を担う。

 紡績・織布のニカワテキスタイル、織布・染色加工の日清紡インドネシア、ドレスシャツ・ユニフォームの製造を手掛けるナイガイシャツインドネシアがある。デニム生産は現地企業と合弁で設立したマラカサリ日清紡デニムインダストリーで行う。日清紡テキスタイルは日本向け、欧米向けのデニム輸出事業を行う。

 現在、海外生産品の75%が日本向け。長期的に国内市場の緩やかな縮小が見込まれる中、さらなる成長のために生産地での内販や海外工場で作った製品を海外マーケットに売る“外・外ビジネス”の拡大に取り組む。そのために国際的なコスト競争力強化と販売する国ごとに違うニーズに合った生産技術のレベルアップにも取り組む。

 シャツ地の欧米輸出は、日本向けがメインのため白地の紡シワ加工品に強みがあるが、欧米への拡大に向けて濃色や柄物の需要に対応した生産品種の拡大を図る。

 インドネシアではシャツ地の内販に力を入れる。現地大手百貨店、優良アパレルメーカーとの取り組みを増やし、高級品ゾーンでのシェアアップを目指す。米国へは現地で米国アパレルと協力関係にある縫製企業への生地の提案を強める。紡績から生地までの一貫して生産し高次の付加価値加工ができるという点を強みにする。

 デニムは日本向け、米国西海岸向けがある。米国有名デニムブランドがコスト体制の見直しを進めているため、商況は厳しい。コストと品質、両面での改善を引き続き行う。インドネシアの中東民族衣装向け生地輸出も販売国の市況悪化で逆境だが継続して拡大に取り組む。

〈ASEANで生産効率強化へ/中国内陸部での生産始動/双日〉

 双日が現在、アジア生産で注力しているのが、ASEANでの工場の生産性向上と、中国内陸部での生産の拡大。

 主力のOEM/ODM事業は、中国をはじめ、インドネシア、ベトナム、カンボジアなどを拠点としているが近年、中国のコストアップや、人材確保の難しさなどを背景に、ASEANでの生産を強化してきている。

 生地をはじめ、副資材などのあらゆる部材がそろい、最新鋭の設備も多く、日本向けの経験も長い中国の工場に比べると、ASEANでの生産性はそこまで高くはない。同社では生産効率向上に向け、その取り組みを強化している。特にカンボジアは中国からの生地の輸入が免税というメリットを生かすため、技術支援をはじめとした生産性の向上に注力している。ASEANの中ではインドネシア、カンボジアが主要生拠点であるがそれに次ぐ生産地として現在、拡大に取り組んでいるのがベトナム。現地での素材調達も充実しつつあり、今後、より一層生産比率を高めていく。

 一方、中国では内陸部での生産強化を進めており、今年から稼働を開始している。これは既存のパートナーである中国沿岸部の工場が内陸部へ進出。これに伴い、沿岸部から新工場へ技術指導のための人材が派遣され、同等の品質も担保されている。数量を確保するためには、今後も内陸部の新工場建設が続くとみられる。中・長期的には、沿岸部での生産が人的要因やコスト要因で、難しくなっていくものと予想しており、人員の確保が比較的容易で、人件費も抑えられる内陸部へのシフトを着実に進めていく。主要顧客からの早期納入へのニーズは継続して高まっている。このニーズへの対応はやはり依然として中国に強いものがあり、内陸部へのシフトでも、早期納入には十分な対応力を持つ。

 同社の強みは対応力。前述の早期納入への対応に加え当然、生産管理に注力しており安定した品質で供給。さらに顧客の要望に合わせてコスト面でも幅広く対応する。短納期など応用力の高い中国の沿岸部をはじめ、同じ中国でコスト対応力も高い内陸部での生産拡大。効率化などによる生産性向上を図るカンボジア、インドネシア、ベナムなどのASEAN。あらゆるニーズに対応できる生産背景を持つ。日系素材メーカーや、現地素材メーカーなどとの連携で、素材開発にも積極的に取り組んでいる。

〈ASEAN生地調達に力/素材メーカー系商社として/クラボウインターナショナル〉

 クラボウインターナショナルの西澤厚彦社長はアジア戦略として、「チャイナ・プラス・ワン拠点での生地作りを進める」と話す。既にこの戦略は進展しており、「素材メーカー系商社として新商品開発力、品質管理力を活用」しながら、グループ連携も生かして生地の現地調達を今後も増やす。

 同社の縫製品OEM/ODM事業のチャイナ・プラス・ワン比率は現在、35%。65%を占める中国の比率は年々下がっており、今後も下がるとみる。チャイナ・プラス・ワン縫製の受け皿は、グループの縫製工場、アクラ・ベニタマ(AKMガーメント)のあるインドネシアが筆頭で、チッタゴンに事務所を構えるバングラデシュ、ホーチミン事務所のあるベトナムと続くのが現状。

 今後はこれら縫製地で生地の現地調達に力を入れる。グループ生産拠点のあるインドネシアやタイでは既に生地開発や生地調達が進展しているが、ベトナムでも日系、中国系の生地メーカーの現地進出に連動して「現地調達の幅が広がっている」。こうした流れを即納機能の加速や関税免除によるコスト低減などにつなげ、商機拡大を目指す。

 高付加価値化にも臨む。中国生産拠点が環境規制問題、人手不足、賃金上昇などを要因に対応力を低下させる中、「今後は直貿を望む声が高まる」とみる。

 この潮流を受けて、改めて「素材メーカー系商社としての機能を磨く」ことで受注拡大を狙う。サステイナビリティー(持続可能性)の意識が高まっていることから、オーガニック関連や、裁断くずを再資源化する取り組み「ループラス」といった商材のアピールにも力を入れる。

 消費地としてのアジアにも着目する。対象は主に、タイ、インドネシア、ベトナムで、それぞれで既に推進中。タイでは官需ユニフォームが先行し、インドネシアでもユニフォームで実績を積む。ベトナムでも協力工場を活用しながら受注獲得を狙う。