「アセアン縫製用素材展」始まる/製品まで一貫体制訴求/サステ素材コーナー設置

2019年02月22日 (金曜日)

 日本繊維輸出組合は21、22日に「第5回アセアン縫製用素材展」を東京都港区のテピアで開いている。13社が出展し、ASEAN地域を中心に開発した素材を披露するとともに、縫製まで一貫したサプライチェーンも訴求する。今回から設置した「インデックス&トレンド」コーナーではサステイナブル(持続可能な)素材コーナーも設けた。日本の2018年のアパレル輸入は前年比6・4%増の2兆7916億円。うちASEAN地域は8025億円と19%増で、全体に占めるシェアは10年前の6・3%から28・7%に上昇している。こうしたASEANシフトを背景に来場者も前回を上回る勢いを見せる。

〈地域、体制広げる商社〉

 一村産業は、紡・織・染を一貫して手掛けるベトナムの生地開発を訴求する。現地では主にユニフォーム向けを生産しており、18年に駐在員を配置し現地の体制整備を進めている。展示では、生産工程と地域の関係を図式化したパネルを設置し、輸入時に特恵関税が適用されるパターンを説明。EPA(経済連携協定)がもたらすメリットも示した。

 日鉄住金物産は今回、ベトナム素材の展示を開始した。製品化した婦人服などを出品し、コスト要求に応えながら品質を維持できる生産体制をアピール。現地では、技術指導を通じて地元の中小メーカーと密接な関係を築き、素材を安定供給する基盤を整えている。

 2回目の参加となる興和は、生地を中心にベトナムを縫製拠点とする製品を展示。現地では、水の使用量を減らす染料を採用するなど、環境に配慮した生産を推進している。オーガニック素材も出品し、サステイナブルな取り組みを発信する。

 豊島は、ASEANを含め海外に張り巡らした生産ネットワークを前面に打ち出す。インドネシア、中国、ベトナムなど各拠点に素材の担当者を常駐させ、現地開発素材の高度化を図っている。「国によって得意な素材は異なる。地域性を生かしたモノ作りで、世界でも豊島らしさを発揮していく」と言う。

 スタイレムは、インドネシアを強化している。現地の工場と協力し、原料の開発から取り組んでいる。得意とするプリントデザインの能力を高めるため、定期的に熟練した技術者を日本から派遣し、現地の技術者を育成している。

〈生産拠点打ち出すメーカー系〉

 メーカー系ではユニチカトレーディングが、インドネシアのユニテックス(先染めシャツ地一貫生産+縫製協力工場)、ユニチカトレーディングインドネシア(商社機能)のオペレーションを提案。ユニチカトレーディングベトナム(ハノイでユニフォーム中心に生産)も紹介した。素材ではクーリング+UVカットの「こかげマックス」、抗フィブリル性リヨセル素材「シルフ―KF」を出品。リサイクル・ポリエステル繊維を「エコフレンドリー」マークで訴求していた。

 帝人フロンティアはソフトでストレッチ、引っ掛かりの少ない「デルタ」、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」をアピール。帝人フロンティアインドネシアのほか、ベトナム、ミャンマー、タイ、中国、フィリピン、台湾の拠点の活用も打ち出す。

 東洋紡STCはインドネシアで、編み立て・染色のTMI、縫製のSTG、商社機能のTIDによる製品一貫オペレーションを展開する。素材ではニットシャツのほか、日本エクスラン工業の安心除菌アクリル繊維「銀世界」などを出品した。

 東レグループはタイのLTX、TTTM、マレーシアのPAB、インドネシアのISTEM、ACTEM、CENTEXと、生産拠点を紹介。ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの長短合繊や天然繊維複合の織・編み物を供給する。

 シキボウはベトナムでの糸売り、編み立て・染色・縫製による製品納入を提案。ベトナム生産の精紡交撚「デュアルアクション」シリーズも人気だ。「個展と異なり、新しい顧客開拓ができる」と語っていた。