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2018秋季総合特集Ⅱ(16)/top interview クラボウインターナショナル/SDGsへの対応が課題/社長 西澤 厚彦 氏/各国で内販拡大に力注ぐ

2018年10月30日 (火曜日)

 「素材メーカー系商社としての機能を追求する」とクラボウインターナショナルの西澤厚彦社長は話す。グループ連携により付加価値化した素材を開発、提案し、縫製品OEM事業の高度化を図るイメージだ。もちろん価格訴求型商品への対応も同時並行で進める。アジア各国での内販拡大やユニフォーム分野の開拓など今後の戦略も明確。現状と展望を聞いた。

  ――貴社や業界にとって最もインパクトの大きい外的要素とは何でしょうか。

 重要になってくるのは、SDGs(持続可能な開発目標)への対応でしょう。この思想を当社事業にどのように落とし込んでいくか。作る責任、使う責任、貧困をなくす、エコロジーなどさまざまな切り口がありますが、それをそのまま額面通りに受け取るのではなく、かみ砕いて商品開発に生かすことが重要だと思います。例えば当社縫製工場である竹田事業所(兵庫県朝来市)や村上事業所(新潟県村上市)でどのような取り組みができるか研究していきます。

 さらに言えば、ヒット商品が長らく誕生していないこともインパクトの一つです。ユニフォーム業界では電動ファン付きウエアが爆発的にヒットしていますが、これも市場になかった全く新しい商品。こうした商品を顧客と一緒に作っていければと考えています。

  ――2019年3月期の上半期を終えました。振り返ると。

 カジュアルの不振をユニフォームの好調で補完するという構図です。これによりユニフォームの比率は15%から20%に上がりました。将来的には30%にしたい。カジュアルの不振には、天候不順による店頭の低迷が影響しています。この結果、上半期は増収ながら営業利益は減少します。営業減益は前期の特殊要因からの反動のため、それを除けば事業実態としては増益と言えます。

  ――ユニフォーム比率の引き上げに向け、素材からの提案を強化しています。

 親会社のクラボウはユニフォーム分野の生地を多数開発しています。こことの連動に加え、この4月から当社内に技術部を新設し、素材からの品質管理や開発に力を入れています。今後も同部の活用などでユニフォーム分野の開拓を進めます。

  ――製販のグローバル展開を方針に掲げています。

 生産では、インドネシアのグループ縫製工場、アクラベニタマ(AKMガーメント)が対日ユニフォーム縫製の拠点として軸になっていますし、素材連携ではグループの紡織企業タイ・クラボウや染色加工のタイ・テキスタイル・デベロップメント・アンド・フィニッシング(TTDF)などとの連携が強化されているほか、東レのインドネシア紡織加工会社センチュリーテキスタイルインダストリー(センテックス)など外部との連携も進んでいます。

 販売では、各生産拠点国で内販の可能性を探っており、一部で進展しているものもあります。

  ――対日縫製品OEM/ODMは価格競争が激しくなっています。

 日本のアパレルや小売りと中国など海外の縫製工場が直接取引する、いわゆる“直貿”の流れが強まっています。その間に介在する当社にとっては歓迎できない流れです。ただ、直貿による品質などのトラブルは後を絶たないようですし、結果的にコストが安くなっていないケースもよく聞きます。

 当社もAKMを軸に価格訴求型商品への対応を一定進めますが、より力を入れるのは、付加価値路線です。素材メーカー系商社として素材からの一貫提案を強め、付加価値化を図るものです。価格と価値のバランスが大事なのだと思います。

  ――中国から東南アジアへの生産シフトもあります。

 当社でもASEANシフトが顕著です。前期比で中国比率は70%から65%に変化しました。中国での人件費アップや環境規制などを考えれば、チャイナ・プラス・ワンがもう一段加速することは必至でしょう。この流れを意識するとともに、ベトナムなどで生地の現地調達を増やします。

  ――内販拡大に取り組み、成果も出つつありますが。

 市場としてのアジアに注目しています。タイでは同国の官需ユニフォームで実績を積んでいますし、インドネシアでもユニフォームなどで実績があります。ベトナムはまだ実績には至りませんが、駐在員事務所や協力工場が周辺国と連携して進めているところです。

  ――下半期以降の重点方針は。

 安定的に利益の出せる体質を磨くことと素材メーカー系商社としての機能を追求することは今後も変わりません。ユニフォームの強化拡大、インバウンド需要を意識した製品提案、サステイナビリティー(持続可能性)やトレーサビリティー(追跡可能性)の打ち出し、高機能なメディカルユニフォーム素材の開発などに取り組みます。

〈私のお気に入り/ウオーキングで心身リフレッシュ〉

 ウオーキングを続けている西澤さん。クラボウが「パワーウォーキング」ブランドの商品展開を始めたことも少しだけ関連して続けている趣味だ。まずは目標地点を決めてスタートする。目標は都度変化するが、そうそう選択肢があるわけでもない。例えば自宅から片道5㌔圏内に図書館があるが、週末のウオーキング実践時には、この図書館を往復、その道中で変わりゆく季節を感じることを楽しんでいる。一時増えていた体重も正常値に戻ったそう。一挙両得のお気に入りである。

〔略歴〕

(にしざわ・あつひこ) 1982年クラボウ入社。テキスタイル第一部長などを経て2013年執行役員タイ国担当兼タイクラボウ社長兼サイアムクラボウ社長。16年6月常務執行役員繊維事業部繊維製品事業担当、同年9月から現職。