転機を好機に変える PV・MU レビュー(1)/両展の方向性の違い鮮明に

2019年02月26日 (火曜日)

 日本と欧州連合(EU)との経済連携協定が2月に発効し関税が撤廃されたことで、対欧生地輸出の環境が変わる。日本企業が服地輸出の拡大を目指す欧州では、先頃閉幕した「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」「ミラノ・ウニカ」(MU)双方でエコ潮流・デジタル化対応が本格化している。ただ、両展の方向性には対照性も目立つ。転機にある両展を概観し、日本の課題を考える。

 この数年のPVに目立つのは規模拡大の方向性。社会的責任や先端テキスタイル、縫製ソリューション提案など新コーナー充実に加え、評価の高いプレビュー展「PVブロッサム」、米国で今夏初開催の「PVスポーツ」などサテライト展開催も積極的で、全方位で総合性発揮を目指す。

 MUはエルコレ・ボット・ポアーラ会長の下、会場サービス充実に予算を振り向け、招待バイヤー数も厳選して商談の質重視にかじを切っている。出展素材の完全エコ化を目指す高い理想も昨今、本格的に掲げた。

 推進するデジタル化対応も針路の違いが鮮明。PVはオンラインカタログ「PVマーケットプレイス」を電子商取引のプラットフォームに育てる意向だが、MUの「e―ミラノ・ウニカ」は訪問バイヤーへの情報周知の補助ツールとして同展の商談の質向上につなげる。

 性格の違いが鮮明になり、日本企業にとっての一長一短も際立つ。

 PVの魅力は絶大なトレンド発信力に加え、トップメゾン以下約130国、5万人前後の多彩な来場者。アジア圏からの来場も増えている。独自のモノ作りを出展者に課す厳格な出展審査が知られる半面、近年の規模拡大で出展者、来訪者が玉石混交化したと指摘する声もある。来客選別の必要が増し、アポイント制採用や専用ソフト導入で商談内容の見える化と精度向上を図る日本の出展者も多い。

 MUは日本コーナーでグループ出展する一体感の評価が最大のポイント。日本発とMU発の両トレンド発信が連携し、日本ならではの生地がコンパクトな区画にそろい回遊性も高い日本コーナーに誘導する。毎回顔を出す律儀な来訪者も多く、コーナー主催者の開発・実務両面で支援も充実。コラボ出展や来訪者相互紹介機運も高まる。

 産地企業にとっては1小間最小9平方㍍、団体出展も可能と継続出展しやすい魅力も大きい。今回も備中備後ジャパンデニムプロジェクトのデニム専業3社、森川レース、タケヤリなど新顔が多数の来訪者を得て、手応えをつかんだ。

 PVファブリックへの新顔は今回2社(蝶理、紀南莫大小。前回はゼロ)にとどまり、新規出展機運は一時より落ち着き気味。継続出展者は、サンプル収集や生地選定の早期化も手伝って、プレビュー展や事前の直接訪問を絡めて、開発段階も含めて生地を早期提案し、PVはその調整と翌シーズンも見据えた新提案を行う姿勢が定着。大手に限らず、坪由織物など中堅の常連出展者もブロッサムPVに出展し始めた。