転機を好機に変える PV・MU レビュー(2)/エコ潮流はもはや基調音

2019年02月27日 (水曜日)

 今回の「プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ」「ミラノ・ウニカ」(MU)の日本の出展者は口々にエコ、エシカル素材への注目のさらなる高まりを指摘した。PVでは特に、エコ素材だけを求めて来訪するバイヤーが9月の前回展に比べても急増したという声が多数聞かれた。

 エコ素材比率を一貫して引き上げる方針を前回展から打ち出したMUでは、開会基調講演でこの方針に賛同するメーカーが数倍に増えたと紹介。ただ、消費者教育など世論醸成との連動が不可欠になるとの留保も付けた。

 バイヤーの要望も一様ではない。現時点でどの深さでこの潮流に応えるかは出展者に委ねられている。厳格な原料認証、環境性能への要望もあるが、多いのは綿やウールなどの原料を全部もしくは一部オーガニック化の要望。漠然とナチュラル感があり、モノ作りにストーリーと共感性があれば十分という要望も少なくない。

 MUの日本コーナーを主催する日本ファッションウィーク推進機構は、MUのエコ路線打ち出し以前から出展者への開発支援の一環で、認証の有無を問わず出展者の自己基準でエコ対応商品をうたえる独自項目をカタログに設けてきた。トレンドコーナーに展示する個別生地に貼付するエコ素材を明示するシールも用意。費用負担の重さから認証取得に後ろ向きな小規模産地メーカー出展者にとって、こうした試みは商談の糸口を広げ、マッチング精度を上げる意味で今後、さらに有効性が高まりそうだ。

 PV出展者もエコの切り口が避けて通れなくなったという意識は強い。東レ・ウルトラスエードや小松マテーレは今回の目玉として、部分バイオ比率を高めた人工皮革・合繊生地を披露して大いに注目された。これ以外の分野でもオーガニック原料使いの生地を拡充して臨んだ出展者が大半。デニムメーカーもリサイクルポリエステル品や天然藍染色品への関心が断然高まったと話す。

 これまで合繊特殊糸で機能性を付与したスポーティーなジャージーで日本らしさを訴求してきた東光商事も、今回展は一転してオーガニック品やナチュラル感ある商品で統一。展示する生地色もあえて生成り・白系に絞った。これが奏功し、商談件数が格段に増えたという。

 強みとする「トレンドに多彩な素材軸で対応できる全方位性を維持するには、全面的エコ素材化にはまだ無理がある」と言うスタイレムも、トリアセテートやキュプラの交織・交編品など日本独自のエコ原料使いの生地を意識的に増やしている。

 瀧定名古屋が代表的だが、「エコ意識が生む生活の精神的豊かさを重視する企業姿勢」自体の発信も加速する。国際認証を取得した責任あるウール原料の調達・生地生産体制を訴求する一方、リサイクル合繊原料との複合でシワ防止やウオッシャブルなど機能性も付与した「テクノウール」生地を前面に出して訴求。旅行シーンなど特定の生活場面に照準した製品提案も交えて打ち出し、ライフスタイル提案を強化している。