特集 カーテン・窓回り(2)/メーカー/新たな価値を形に

2018年12月25日 (火曜日)

〈整経から製織の一貫体制/愛知と岐阜の工場を統合/維研〉

 カーテン地製造の維研(愛知県江南市)は、整経から製織まで一貫した生産体制を強みとする。来年1月末からは岐阜県の工場と統合した愛知県一宮市の三愛工場が本格稼働を始める。

 工場の統合は生産効率の向上を図ることが目的で、岐阜の工場にあった設備を三愛工場に移設する。それまで三愛工場では古い織機が故障することもあり、稼働率の低下が問題となっていた。

 移設によって三愛工場は織機19台体制となる。コンピュータージャカード織機の3㍍幅と1・5㍍幅が各6台、1・5㍍幅のメカジャカード織機2台、2㍍幅のドビー織機5台という機種構成。

 統合で生産拠点は4工場から3工場体制に変わる。ほかには本社工場と一宮市の井上工場で、全て愛知県内にある。見本の専門工場も入れると織機台数は計56台で、そのうち45台がコンピューター式。

 井上工場には国内に数社しかないスズキワーパー製のコンピューター全自動部分整経機もある。町田正浩社長は「熟練の技術が必要な整経も自動で行えるのが特徴だ」と話す。

〈多彩な商品を供給/納期の対応にも定評/小森〉

 三河産地の産元、小森(愛知県蒲郡市)のインテリア部は先染めから後染め、プリントまでの多彩な商品の供給能力に加え、納期への対応力に定評がある。「チーム小森」として全国にあるさまざまな協力工場と連携したモノ作りで実現している。

 カーテン、テーブルクロス、椅子張り地を展開するインテリア部の2018年11月期は増収だった。カーテンはホームユース向けが伸び悩んだ一方、東京五輪・パラリンピックの影響によってコントラクト向けが好調。さらにテーブルクロスも受注が旺盛だった。

 チーム小森の協力工場は撚糸や糸染め、荒巻き整経、サイジングのほか、製織、染色加工、縫製までと多岐にわたる。各製造工程に強みを持つ企業で構成しており、顧客のニーズに合った商品を展開できる。国内の生産が縮小しているがチームとしての信頼関係を築いているため納期も安定している。

 今後は商材をカーテンからリビング全般にまで広げることを視野に入れる。

〈糸からのモノ作り強み/新規販路の開拓も進む/松坂〉

 三河産地のオーダーカーテン専業産元の松坂(愛知県蒲郡市)は糸からのモノ作りと企画力が強みだ。ジャカード織物によるカーテン地を主力としており国内生産に重きを置く。オーダーカーテンを取り巻く環境は厳しい中、新規先の開拓などを図る。

 同社の祖業は原糸販売で、現在もポリエステル長繊維糸やレーヨン紡績糸などさまざまな素材の糸を取り扱う。糸についての豊富な知識があることはもちろん、毎月新作のカーテン地を試作するなどして企画力を磨いてきた。

 オーダーカーテン地向けに先染め、後染めのジャカード織物を三河や北陸などの各産地と連携して生産する。その一方、長期的な住宅着工件数の減少やロールスクリーンの普及によりカーテン需要は落ち込んでいる。

 それを打開するため近年は新規販路の開拓も進める。これまでは見本帳向けのカーテン地を手掛けるインテリア製造卸が中心だったが、地元の工務店と取引がある専門店や、雑貨や家具などを手掛ける店舗など着実に新規先を増やしている。

〈今期2桁%増収基調/ニトリ向けが伸長/サンコロナ小田〉

 サンコロナ小田(大阪市中央区)の2018年7~12月期のカーテン事業は、前年同期比10%超の増収を見込む。大手家具・インテリア小売りのニトリが5月に発売した機能カーテン「エコナチュレ」向けが伸びた。

 エコナチュレは熱、紫外線、視線をカットしながらも光を通す既製レースカーテン。遮熱機能を持つ「エコオアシス」と、採光・紫外線カット、遮像機能を持つ「Nナチュレ」を融合した。

 帝人フロンティアの新原糸「遮熱遮光糸」を使用し、テキスタイル構造を最適化するなどして相反する機能を実現した。発売後、機能性と値頃感が支持されてヒット。特に7~9月が売れたと言う。エコナチュレは、2018年度グッドデザイン賞を受賞している。

 サンコロナ小田の既製カーテンは、エコナチュレがけん引して前年同期を上回った一方、オーダーカーテンは前期並みの実績で推移する。

 同社ではエコナチュレの次シリーズの継続的な開発を進め、「素材から新しい価値」(同社)を追求する。

〈テキスタイルで販売上乗せ/ドレープへの参入目指す/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアは7~8年前にポリエステル長繊維事業の再構築と取り組んだとき、当時もうかっていなかったカーテン向けの糸売りから撤退することも検討したという。

 しかし、大手家具・インテリアチェーンとの取り組みをこの時期に立ち上げ、その後、共同で企画・開発した商材を相次いで投入。カーテン向けを中心とする糸売り事業の業績を回復させてきた。

 この間、機能商品の販売に力を入れてきており、花粉キャッチカーテン、遮熱カーテン、彩光・UVカット・遮像カーテンなどに向けたポリエステルの商品ラインを充実させてきた。

 産地企業との連携を通じ、織布メーカーにビームでカーテン用ポリエステルを供給する取り組みにも広げており、「こういうサービスを強化してきたことが増販を後押ししている」と言う。

 大手インテリアチェーンとは2月に新しい企画のテスト販売を立ち上げ、春先から本格販売に移行。これとは別に、新しい企画を発売するための準備を急いでいる。

 昨年からは糸売りだけでなく中国などでの生産をリンクさせたテキスタイル売りにも着手。テキスタイルでカーテン向けを「さらに増やしていきたい」と話す。

 課題に位置付けるのが、ドレープカーテン用途への参入。既に機能性を付与したカーテン地の開発を進めており、早急に完成させたい考えだ。