転機を好機に変える PV・MU レビュー(4)/“らしさ”を深掘りする改善力
2019年03月01日 (金曜日)
「プルミエール・ヴィジョン(PV)ファブリック」「ミラノ・ウニカ」(MU)ともこの数回、日本企業の新規出展は落ち着きを見せる。常連の継続出展者がめいめいにコツをつかみ、輸出拡大を狙う成熟期に差し掛かった。
日本製生地への期待は、キュプラやトリアセテートなどオンリーワン繊維、織り・編み双方の多様な産地背景、職人的と形容される独自改良を重ねた整理加工も含む生産設備を幾重にも掛け合わせた開発力、そして、備蓄販売という特有の販売形態による小回りの利く対応力にある。
逆に、課題はサンプル送付から納期対応までの全般的なスピード感と、的確に微調整して現地ニーズを「半別注」に落とし込むコミュニケーション力にある。この間の国内産地の疲弊もあって、備蓄力が武器の生地商社でも納期対応の克服は容易でないが、強み、課題ともかねて指摘があり、欧米の評価もここに集約される。エコ潮流とも親和性が高く、ストーリー性のある「日本らしさ」を現地ニーズに適合させ、深掘りした成果が注目される。
これを最も総合的な形で追求してきたのはスタイレム。日本・海外のスタッフが編集する国内産地横断型の二つの備蓄生地コレクションに加え、イタリア法人が産元を営むプラート・コモ両産地のコレクションの、合わせて四つをPVで展開。トレンドを複数の素材軸で提案する体制を構築する。トレンドを意識したノベルティーバッグにも毎回趣向を凝らし、リピート心をくすぐる念の入れようだ。今回のラメフィルムのバッグも大人気で、初日から会場あちこちで提げ歩く来場者の姿が見られた。
MUにも日伊双方で出展。ブロッサムPVや個別訪問での事前提案も交え、既存客対応と新規開拓を地域・時期双方で面的に展開する。「将来性ある新興ブランドへの小ロットQRからグローバルSPAの一本釣りまで、新規開拓には可能性しかない」と自信を見せる。
これは突出した例だが、別注主体のエイガールズもPVで備蓄型ベーシックラインを設定し、短納期や別注の敷居に届かない小ロット要望にも対応を強化。旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」とコラボしたオリジナル長繊維専用糸に、環境負荷低減型サンドウオッシュ加工を一部に絡めた新作ジャージーも披露して話題をさらった。強みと課題克服の両立ての提案を進化させる姿勢は共通している。
デビステキスタイルは、欧州各国にエージェントを配し、多国語対応可能な自社スタッフ増員の成果に手応えを得る。共通生機の備蓄で納期面に万全を期し、通年提案も強化するベンベルグ主体の生地ラインアップを、前回から4カテゴリーに再編した効果も出始め、SPAや欧米メゾンの評価が確立、中量産以上の発注を継続的に受注する。
宇仁繊維は、出展品が1ロールから即時出荷できる備蓄品で1メートル単位の販売も可能なことをブース前に改めて明示。MUで、多数の新規を含む過去最多の来客数を得て、備蓄品番数と納期対応力の訴求に依然強いニーズがあることを確認した。
いずれの例にも、商品力を大前提に加え、訴求方法を継続出展の中でつかんだ現地ニーズにチューニングし続けてきた成果がうかがえる。




