特集 第2回中国高級アパレル&素材展示商談会「AFFセレクション」/3月6、7日 東京国際フォーラムで/中国の底力見せる
2019年03月04日 (月曜日)
3月6、7の両日、中国高級アパレル&素材展示商談会「AFFセレクション」が東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれる。2018年の日本のアパレル輸入統計では中国の比率が低下した一方、ベトナム、バングラデシュ、インドネシア、ミャンマー、カンボジアの比率は大きく上昇した。ただし一方で「日本の繊維・アパレル産業にとって中国の重要性は今後も変わらない」(商社など)との声が改めて高まっているのも事実。東南アジア地域へのシフトが強まったことで、中国が持つ奥深さや多様性が改めて浮き彫りになったと言えるかもしれない。こうした情勢の中、昨年5月の初開催に続き、AFFのスピンオフ展と位置付けられる第2回AFFセレクションが開催される。
〈高付加価値な商品、高水準なサービス機能披露〉
同展は昨年5月が初開催。主催はAFFで、日中経済貿易センターと国家紡織面料館が協力するもの。出展者はアパレル、素材、副資材企業47社・50ブースで、ほぼ前回展と同じ規模。第1回の来場者数は985人で、高品質、高付加価値な商品を持ち、高い提案力で、対日ビジネスの経験を積んできた中国企業が日本の商社やアパレルと商談を進めた。AFFによると有名企業、有名ブランドが多数訪れ、「ハイグレードな展示会にマッチした」という。
展示製品は、アパレルが紳士・婦人・子供服、パジャマ、インナー・下着、セーター、スポーツウエア、作業服などで、素材が綿、麻、ウール、化繊、各種天然繊維、不織布、ニット、デニム、シルク、レザー、ダウンやこれらの複合など。服飾品として靴下、タイツ、ストッキング、スカーフ、手袋、帽子の出展もあり、副資材ではレース、刺しゅう、ひも、ボタン、ファスナー、タグ、裏地などが並ぶ。
レース、刺しゅうの広州邦而華紡織品は、全ての図柄をオリジナルデザインでそろえる。シーズンごとに30~50種類の新しい図案を独自に考案してモノ作りし、日本市場を熟知していることから顧客から高い評価を受けている。
紳士・婦人向けに天然繊維使いや機能素材使いの生地を開発する南通明富紡織品は今回、綿100%の先染め織物、綿・麻の強撚織物、リネン100%、「テンセル」、キュプラ繊維、トリアセテート繊維、「クールマックス」などの生地を取りそろえ、多様な生地ニーズをつかむ。
機能素材や化繊、ダウンにこだわる呉江市漢塔紡織整理は軽くて薄いダウンプルーフ、素材の風合いを維持したダウン、防風、通気透湿、抗放射線、蓄熱保温などの機能素材を充実する。無錫艾莱美国際貿易も、自社で開発した接触冷感、遮熱、吸水速乾、UVカット、抗菌、吸湿発熱などの機能を持つ製品を天然繊維と交えて提案する。
裏地、ボタン、ファスナー、刺しゅうなどを販売する呉江駿騰織造は、「高品質、豊富な品ぞろえ、クイックデリバリー」をモットーとし、「0納期」の要望に応えるために備蓄システムを構築している。2万平方㍍の敷地に60種を超える備蓄品をそろえており、カラーストックは5千種に上る。今回展でも多品種・短納期対応をアピールし、時短ニーズを強める日本企業との取引拡大を狙う。
南通言心服飾は、日本市場との取引を長く続けてきたことによるノウハウの蓄積を訴求する。婦人・紳士向けの織物を小ロット、短納期でモノ作りすることが可能で、生地手配のバリエーションも幅広い。日本向けの商品を数多く手掛けてきたことで「日本市場の現状をよく把握している」点が強みと言う。
〈「量から質」確認する場/輸入比率6割を切る中で〉
日本繊維輸入組合が財務省貿易統計を基にまとめた18年(1~12月、速報値)のアパレル輸入統計では、中国からの輸入が点数で2・6%、金額で0・4%の微減だった。ASEAN各国などが伸びたこともあり、付属品も含めた同国の比率は59・9%と6割を切った。
付属品を含む同年の輸入は全体で数量3・6%、金額6・4%増加したが、そのけん引役は、数量で16・5%、金額で19・0%増加したASEANだった。チャイナ・プラス・ワンが改めて進行した結果と言え、日中繊維貿易が曲がり角に差し掛かっているのは間違いない。
AFFは、2003年から開催してきた前身の「チャイナファッションフェア」(CFF)を含め、16年の長きにわたって日中繊維貿易を促進してきた。同展の歩みと日中繊維貿易の歩みはほぼイコールと言える。18年4月の「AFF・大阪」展で初めて設けられたのが、ODMエリア。単なる請け負いではなく、企画提案型のODM企業や素材からの一貫提案ができる企業を集めたもので、好評を博した。
その流れを受けて初開催されたのが昨年5月のAFFセレクション。日中繊維貿易の“中身”が変化する流れを強く意識したものだったが、主催者の思惑通り、高級品や付加価値素材、短納期や小ロットなど上質なサービス機能を求める日本のアパレルや商社が高い関心を示した。
統計にも表れているように、日中繊維貿易の“中身”は量から質へと変容しており、数量の面では今後も維持こそすれ、拡大していくことは想像しにくい。人件費が上昇し、人手不足も顕在化、環境規制が強まったことなどが背景にある。中国企業も“質”へのシフトを進めている。その確認の場の一つが、第2回のAFFセレクションとなる。