進撃のステージへ メーカー系商社のいま(7)/クラボウインターナショナル/商品開発が生命線

2019年03月05日 (火曜日)

 クラボウインターナショナルの西澤厚彦社長は2019年度(20年3月期)の重点方針に、(1)カジュアル分野の収益力向上(2)ユニフォーム分野の業容拡大(3)海外ビジネスの拡大――を掲げ、その実現のために商品開発やクラボウグループとの連携強化に改めて力を入れる考えを示す。

 西澤社長によると18年度業績は、前期比減収減益となる見込み。拡大分野と位置付けたユニフォームはおおむね堅調に推移したが、主力のカジュアル衣料品OEMが店頭消費の低迷や価格競争により苦戦を強いられた。

 来期以降、主力のカジュアル分野で収益力向上に臨む。「市場では価格訴求型商品がまん延しているが、その一方で機能性の高いお値打ち商品への興味も高まっている」と分析。数多くの機能素材を開発するクラボウとの連携を強めるなど「素材メーカー系商社として新商品開発に注力する」ことで収益力を引き上げる考えだ。

 堅調なユニフォーム分野にも拡大余地を見いだす。例えば「女性の社会進出を背景にソフトタイプのユニフォームが注目され始めている」ことなどを指摘する。「女性目線」を意識した商品開発や提案を進めて商機をつかむ。

 海外ビジネスでは「中東の回復はまだ時間が必要」とみるが、政情不安のあるサウジアラビア以外の販路開拓やグループ縫製拠点を活用した縫製品の自主販売にも挑戦していく。海外市場開拓の一環として取り組んでいた欧州のグローバルメガブランドとは無事成約に至った。生地からの提案を続けてスカート3万点の受注に成功。今後も取引継続を狙う。

 収益力の向上や受注拡大の鍵を握るのは商品開発。この考えの一環として、特殊機能性レーヨン「ルナセル」とポリエステルを原料とした「ルナセル粒わた」を開発。この用途開発を進めるほか、健康志向の高まりを受けてドイツの企業と独占使用契約を締結した「パワーウォーキング」ブランドで認知度向上に向けた商品開発と提案強化を図る。またサステイナビリティー(持続可能性)やSDGs(持続可能な開発目標)を意識した取り組みも推進していく。

 グループ連携ではクラボウのほか、タイのサイアム・クラボウ、タイ・クラボウ、タイ・テキスタイル・デベロップメント・アンド・フィニッシング、日本の大正紡績などとの取り組みを深耕し、新商品開発や販路開拓につなげる。