「AFFセレクション」閉幕/機能性素材開発に優れる生地衣料一貫生産に強み

2019年03月08日 (金曜日)

 東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開かれた「AFFセレクション」が7日閉幕した。中国のアパレルや素材関連企業が、日本向けに独自技術を生かした企画提案力をアピールした。糸の開発から機能性や2次加工技術まで披露した。

 常州福軒国際貿易は、ツイード生地を前面に打ち出し、技術力を強調した。江蘇省常州市に自社工場を持ち、生地開発から製品出荷までを一貫して管理している。小ロットの注文には、地元の小規模の縫製工場に外注することで対応すると言う。

 婦人・子供服製造の青島柏麗雅服飾は、刺しゅうなどの2次加工で付加価値を高め、価格競争とは一線を画す。「自社工場や協力工場は、高級志向に応える技術力を持っている」と自信を抱く。日本向けが95%を占めるが、内販の拡大にも力を注ぐ。婦人服の自社ブランドを立ち上げ、山東省青島市にアンテナショップを開設した。

 シルク製品の嘉興市絲工房服装は、既に売れ筋のネックカバーの拡販を狙う。肌触りを気にする消費者に根強い人気を持つシルクの用途を広げようと、男性向けにも無地のネックカバーを製造している。「AFF」展の常連組である同社は、今回展でも新規開拓の手応えをつかんでいた。

 紹興市厚発紡織はカポック繊維を使い、ストレッチ性のある生地を提案した。カポック22%・コットン27%・ポリエステル27%・ナイロン20%・スパンデックス4%の構成で、「糸からのため、開発には3年近く要した」。昨年完成し、これから日本での販売を開始する。

 江蘇亦瑾進出口貿易は、ウールニットの強圧縮加工である「横編み機成型フェルト化技術」で特許を持つ。同社は世界規模の責任ある認定生産「WRAP」の認証も取得する。

 そのほか、接触冷感、吸湿速乾、遮熱、UVカット、吸湿発熱、抗菌防臭といった機能加工素材も多く見られた。

〈千人突破の背景には/来場者の要望に合致〉

 「AFFセレクション」の初日来場者は570人だった。前回(18年5月展)初日は月曜日だったことから400人を切っていたが、今回は大幅に増えた。「2日目も朝から盛況で、目標の千人達成は確実」と、同展の運営者である中紡広告展覧の孫暁明総経理は顔をほころばせる。

 今回は昨年よりも出展基準を厳しくした。「技術力、環境保護能力、生産能力に加え、日本語対応力を高めた」(孫総経理)。その結果、継続出展企業は47社中9社となった。

 来場者に感想を聞くと、「前回より日本語対応の人が多く、スムーズに商談できた。企業もグレードアップした感じで、商談に結び付けやすかった」(アパレル)、「昨年も来たが、新しい出展者が多かった。出展者が変わった方が、新しい仕入れ先を増やせていい」(商社)と、評価する。

 出展者選びでは生地メーカー、生地と縫製一貫企業を意図的に増やした。これについても「国内生地を中国に送るとコストアップになる。現地調達すればいいが、不安は残る。生地・縫製一貫生産なら、安心でき、トレーサビリティー(追跡可能性)もとれる」(アパレル)と、今のビジネスモデルに合致している。

 孫総経理は「来年も3月に東京国際フォーラムで行うことを決めた」