「インターテキスタイル上海」開幕/差別化生地の提案加速/一部出展者の内販足踏みで

2019年03月13日 (水曜日)

 服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2019春」が12日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開幕した。日系企業は21社がブースを構える「ジャパン・パビリオン」を中心に、約35社が出展。一部企業の中国内販が足踏みする中、差別化をより強めた生地の提案が目立つ。会期は14日まで。(岩下祐一)

 今回展の出展者数は、前年春展並みの23カ国・地域の約3300社(うち中国企業は約2700社)となった。「インターテキスタイル上海ホームテキスタイルズ春」「中国国際服装服飾博覧会(CHIC)」「ヤーンエキスポ」「PHバリュー」の4展示会が同センターで併催されている。日本、イタリア、韓国、台湾、パキスタン、インドが各パビリオンを構え、フランス、ドイツ、トルコが各ゾーンを設けている。

 日本企業は、日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)が主催するジャパン・パビリオンの21社(前回春展20社)に加え、旭化成や小松マテーレ、スタイレム、蝶理、三菱ケミカル、ヤギが単独出展。東レや帝人フロンティア、YKKなどは、中国子会社のブースを設けている。

 開催初日の午前中は天候に恵まれ、来場者の出足は上々。ジャパン・パビリオンは多くの人出でにぎわっている。

 中国市場はここ数年、規模の拡大だけでなく、質の向上が著しい。都市部では、これまで主流だった価格最優先の消費から品質志向へとシフトしており、アパレル市場では素材にこだわる高級レディースブランドの業績好調が続いている。新興のデザイナーブランドも続々と誕生し、一部が売り上げを伸ばしている。

 こうしたブランドは、差別化志向が強く、イタリアと日本製生地をひいきにするところが多い。特に小口のデザイナーブランドにとって、備蓄により小ロット・短納期に対応する日系生地商は、重要なサプライヤーになっている。

 一方、ジャパン・パビリオンに出展する日系生地商の一部の内販は、昨年後半から勢いに息切れ感が見られる。「昨年前半はとても良かったが、後半から伸びが鈍った」「今年に入って足踏みしている」といった声が多い。背景には景気の減速や、米中貿易摩擦への警戒感の影響がありそうだ。

 こうした中、今回展ではより差別化した生地の提案が増えている。

 宇仁繊維は「今は景気減速によりトレンドが変化する転換期」のため、差別化したジャカード織物など、これまで以上に高級化を図った生地を前面に打ち打ち出す。

 コスモテキスタイルも、中国では加工が難しい綿をベースにした天然素材と合繊の複合素材使いをアピール。内販は、日系生地商の中では後発だが、日本独自の加工を武器に徐々に成果を上げている。

 サンウェルはオーガニックコットンを使用したダブルガーゼや、強撚糸によるドライな肌触りと軽い素材感が特徴のボイルなど、高付加価値の日本製生地を訴求する。

 瀧定名古屋は、合繊の機能性生地を中心に、中国市場を意識した明るい色使いを前面に打ち出している。内販は、日本製婦人服地の備蓄品が堅調に推移している

 双日ファッションは、小ロット・短納期に対応し、一色一反から販売するサービスをアピール。昨年は中国製の内販を大幅に伸ばしたが、今年はより差別化を図った日本製を前年比で1・5倍への拡大を計画する。