ミラノ・ウニカのサステイナビリティー提案/モノだけでなくプロセスこそが重要
2019年03月13日 (水曜日)
至る所でサステイナビリティー(持続可能性)という言葉が聞かれ、その内容も徐々に意味深く受け止められてきた。サステイナビリティーは、部分的に捉えるのではなく、プロセスも重要であり、トレーサビリティー(追跡可能性)の裏付けによって一層確かなものとなる。2月に開催された「第28回ミラノ・ウニカ」(MU)の「サステイナビリティーエリア」のプロジェクトは、プロセスの革新と環境保護を目指す生産組織の役割を重要視した。
〈綿製品の工程を追跡〉
アルビーニグループは前MU会長である故シルヴィオ・アルビーニ氏の後を弟のステファノ・アルビーニ氏が継いでいる。シャツ地で世界トップクラスの会社であり、サステイナビリティーやトレーサビリティーの先進的な取り組みも行っている。
トレーサブルファッションとして、コットンの化学的な分析にオリテイン社のデータベースを使う。コットンの木にはそれぞれ指紋のようなものがあり、どこの地域で育ったか、どのような土、空気、水が使われたかなどを、化学で追うことができる。コットンを収穫して糸に紡ぎ、生地にしてシャツ製品ができるまでを追跡して判別することができ、全てを管理し、透明な生産工程を保証できる。
フランスのケリンググループ(世界経済フォーラムで、世界で最もサステイナブルな企業に選ばれた)では、コットンの中でオーガニックコットンが、環境負荷が一番少ないというデータを持つ。「傘下で最初にオーガニックコットンを使用したのはグッチだったと思う。グッチはプロセスを基盤にオーガニックコットンを使用。一部分を取り上げてサステイナビリティーとするのではなく、プロセスが大切である」と言う。
BCI(ベター・コットン・イニシアティブ)は持続可能な栽培によって生産された綿花の供給網を確立し、「BCIのUNIDO(国際連合工業開発機関)のエジプトでのコットンのプロジェクトは、環境への負荷が少ない、水を使わない、子供に労働をさせない」と評価する。
生産過程でのエネルギー削減としては、機械を新しいものにし、工場の中を発光ダイオードに変え、太陽光パネルを設置し、パワーウインドーを使用している。最終工程では近くの川の水力発電を使用。数年前に新しい機械に替えて、水量を30~40%減らした。
〈近くから買うのもエコ〉
タイアナ社は20年前にISO9001(品質マネジメントシステム)を、3年前にISO14001(環境マネジメントシステム)をそれぞれ取得。環境に対する影響は工場のプロセスとして重視し、着実に進化し続けている。欧州委員会は2025年から生地を分けてから捨てることに決定し、今後細部の検討を進める。
「消費者も含めて商品の最終段階まで考えて参加することが大切で、どのような過程を経たかに10年先まで関心を持ってほしい」とマーケティングマネージャーのマルコ・タイアナ氏は話す。原料の手配では、リサイクルポリエステルを使用し、パルプの原料となる原木を常時自然に栽培しているところからレーヨンを購入。環境問題を身近なところから始めることを念頭に置いている。例えば近くの会社から購入するという取り組み。それは運送費が安いのと同時に、エネルギーを削減し、CO2の減少にもつながる。
自社のエネルギーは太陽光パネルで40%を補う。その投資は15年で回収できると見込むが、そもそもそれが問題ではないと言う。イタリアはエネルギーが足りない輸入国。メーカーも消費者もできるところでの努力が大事として、染め、プリント、水、薬品の使用で、有害なものは全て外した。糸染めの機械も水を節約できる新しい機械に替えた。
システマ・モーダ・イタリア(SMI)が提唱しているように、トレーサビリティーやサステイナビリティーは非常に大切で、最終製品までどのような工程を経たか、消費者は過程の情報を持たないのでそれを知らせることも重要になる。
「イタリアの有名デザイナーであるアルマーニやベルサーチからもサステイナビリティー素材のリクエストが増えてきた。サステイナビリティーの製品は高価でも良質で、そのプロセスがセールストークになる。プロセスと製品の両方が重要である」とタイアナ氏は述べる。
〈各種認証とセットで〉
カンクリーニ社は1925年に設立された日本でもなじみのある会社。エリア・マネジャーのオンブレッタ・ガブリエラチッチ氏は「サステイナビリティーのテーマは大切だ」と話す。
同社は、さまざまな認証を取得して規則に従っている。GOTS認証はグローバルオーガニックテキスタイル企画に従って、ICEA(倫理環境認証協会)によって発行されており、テキスタイルをオーガニックと定義。バイオファブリックはGOTS規格に準拠した100%オーガニック認証を受けており、GOTSの認定したプロデューサーから購入したオーガニック糸を使用。なま糸も規格で定められ規則に従って認定された染色剤で染める。織りや仕上げは汚染が起こらない認証を取得した施設で行われ、輸送も外部汚染を避けるために糸と生物学的織物の両方が特別な包装で断熱され、製品は有機的な使用のために適切な場所で保管される。
GOTS認証はISOを取得していないと取れない。天然繊維に関して最も厳しい基準を持っている。自社で使用する「スーピマ」コットンは理想的な栽培条件のおかげで、35㍉という非常に長い繊維長を持っている。米国南部のアリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州、カリフォルニア州で栽培され、機械的収穫により繊維汚染がない。
「エコテックススタンダード100」は有害物質の管理、主に生地や素材の使用目的を考慮している。自社の認証を取得した製品は肌に触れるシャツ、下着、ベッドリネン、Tシャツ、靴下など。
BCIでは農民と直接プロジェクトを実現することで、水と農薬の使用を30~50%減らすことができた。最終消費者まで趣旨が行き届くように下げ札も付けている。REACH(化学物質の登録、評価、認可および制限)は欧州連合が制定した人の健康や環境の保護のために化学物質を管理する欧州議会と欧州理事会規制で、登録や法令の告知は欧州化学物質庁が行う。
自社での生産は水を節約、太陽光パネルを使用している。今シーズンから緯糸にリサイクルコットンを使用した。コットン70%と経糸にリサイクルプラスチック30%を使用した「コペック」はバイヤーの評判が良い。バンブーはコットンとミックスした。他にも「テンセル」、ユーカリ、イラクサなどをそろえた。
コットン・レーヨンのニーズは多い。コットン74%・イラクサ26%の「オルティカ」。ヘンプは強さと通気性があり、アレルギーを発せず抗菌性がある。
〈エコ対応設備へ更新が進む〉
マリーニ・セコーニ社はイタリアの約60企業の糸や生地を作っている。ISO9001、エコテックス、GOTSと16年にDETOX(デトックス)の認証を取得し、20年のZDHCに向けて努力している。リネンのストレッチ、レーヨン、リサイクルコットンなどさまざまなナチュラルな素材を扱う。ストレッチを得意とし、エラスタンの50%はGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)を認証。GRSは製品のリサイクル含有物を検証し、社会的、環境的、化学的慣行を実証し、生産で責任ある企業のニーズに対応して、国際的で自発的な完全製品基準を求められる。ジニング(綿と種を分離する綿製品の最初の工程)、紡績、織布、編み立て、染色、プリント、縫製などの企業が参加している。
リネンのストレッチには1945年から取り組む先駆者で、最近の30年間では専門化として認められている。生産は全体で1400万ユーロ、生産量は120万メートル。リネンとリサイクルウールのミックス、ウオッシャブルウールはドライで洗わず、薬品の必要がなく水洗いできる。ウールの場合は動物虐待のないノーミュールシング。近日中に新しい工場に移動するが、年間50トン以上のCO2排出量を削減する太陽光発電システムを設置し、会社のエネルギーは100%まかなう。取引先は欧州や米国が多いが、韓国や日本の大手SPAとも取引がある。品質とは、生産技術と経営管理システムを継続的に改善し、新しい技術に投資することで、定期的に更新される技術的に進歩した新しい機械を使用している。
(インプレス代表:川上淑子)




