明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(12)/山陽染工/業界の常識にとらわれず挑戦
2019年03月29日 (金曜日)
山陽染工(広島県福山市)は、綿布の捺染工場として1925年に創業した、90年以上の歴史を持つ染色加工場だ。原反から晒し、無地染め、プリント、仕上げ加工まで一貫で生産できる国内有数の生産体制を持つ。
同社が得意とするのが抜染。抜染は布地から白一色で色を抜き、柄を出す技術で、大正時代に同社が国内で初めて機械化を実現した。2014年にはその技術を進化させた「段落ち抜染」を確立。部分的に色の抜け具合を変えることで濃淡を表現する独自の技術で、引き合いが増えてきている。
独自性のある加工技術の確立とともに、13年から取り組みを本格化したのが、ブランド戦略「クロス・サンヨー」。同社の加工と取り組み先各社のファブリックや技術との組み合わせでできた製品群の総称で、この戦略で染色加工ビジネスの幅を広げている。松本壮一郎社長(46)は、「自社で終わらせず、他社との協業を深める」と言う。
さらにデニム製織の中国紡織(同)に加え、15年に子会社化した山陽染工児島ファクトリー(旧・角南染工場、岡山県倉敷市)のグループ3社の連携による開発も加速。児島ファクトリーが得意とする硫化中白染め「ダスティー加工」と段落ち抜染を掛け合わせた「硫化染め段落ち抜染」を開発するなど、技術を組み合わせることで、他社にまねのできない加工開発を進めている。
さまざまな連携を通じて、インターネットでの情報発信も17年から強化。クラウドファンディングで、段落ち抜染のデニムスニーカーやスリッポンを発売するなど、これまでになかった取り組みも積極的に試み「染色加工場の存在を広く知ってもらう」(松本社長)ことで、付加価値の高い染色加工のアピールにつなげる。
今年2月にはイタリア・ミラノで開かれたテキスタイル展示会「ミラノ・ウニカ20春夏」にも出展。同社としては初の海外展だったが、「予想以上に反応が良かった」。今後1~2年は海外販路開拓への仕組みづくりを模索する。
染工場の数が減ってきたことで、得意なものだけを生産するだけではいけなくなってきた。あらゆる要望に対して“受け皿”になるため、工場への投資も進める。本社にはジッカー染色機の導入を予定。児島ファクトリーには風合い加工のシュリンクサーファー機を導入し新しい加工の開発や品質向上を目指す。
松本社長は「業界の常識にとらわれず、新しいことにもどんどん挑戦していく」と今後の抱負を語る。
社名:山陽染工株式会社
本社:広島県福山市一文字町6-1
代表者:松本 壮一郎
主要設備:連続式精練漂白機3セット、連続式染色機2セット、液流染色機4台、無地染め染色機2台、ロータリー捺染機1台、樹脂加工機3台、ヒートセット機1台、ジッカー染色機2台、防縮機3台、起毛機4台など。月産能力200万メートル(染色150万メートル、晒し50万メートル)
従業員:91人




