ダイワボウノイ/カセイソーダ非使用で染色/環境負荷低減の革新プロセス開発

2019年04月03日 (水曜日)

 ダイワボウノイはこのほど、カセイソーダ(水酸化ナトリウム)を使用しない染色加工プロセスを開発した。廃水時の中和工程なども不要になるため、水使用量削減など環境負荷を低減する革新プロセスとなる。2月には特許も申請した。同社では2019年度(20年3月期)中には具体的な商品開発での活用など実用化を進めたいと言う。

 カセイソーダは、繊維の精練漂白や染液の調合などに幅広く使用されており、染色加工工程では必要不可欠な基礎化学品の一つ。一方、強アルカリ性のため使用方法によっては繊維にダメージを与える場合もあり、使用済み溶液の廃棄には中和工程が必要なため廃水処理の環境負荷も小さくない。

 これに対してダイワボウノイは、カセイソーダに代わる成分の研究を進め、カセイソーダを使わない綿素材の染色加工技術の開発に成功した。新加工プロセスによる加工品でも従来プロセスと同等の吸水性や白度を確立したほか、繊維にダメージを与えないことで風合いにも優れると言う。綿などのセルロース繊維だけでなく、アルカリ性に弱いシルクやウールといったタンパク質繊維にも適用できることから、綿とシルクやウールの混紡素材にも応用できる。

 廃水処理でも中和工程を省けるため、薬剤や水の使用量削減が可能など環境負荷低減も期待できる。新プロセスによる染色加工能力や環境負荷低減効果については、協力関係にある国内の染工場で検証実験も実施し、効果を確認している。

 同社では2年前から、“環境”を切り口にした開発に取り組む「エコロジー・サステイナブル・プロジェクト」を推進している。カセイソーダ非使用の新染色加工プロセスも、同プロジェクトの一環として開発した。