日清紡テキスタイル/画像解析で防シワ性判定/新しい形態安定性評価法導入
2019年04月15日 (月曜日)
日清紡テキスタイルはこのほど、ボーケン品質評価機構と東京家政大学家政学部の森俊夫教授と共同で画像解析を用いた形態安定性評価方法・装置を開発した(特許出願中)。従来は目視に頼っていた測定を機器による数値化で評価することに成功した。今後は形態安定シャツ地の性能評価に新評価法を導入し、自社基準を設けることで消費者に対してより正確な性能を保証することに取り組む。
繊維製品の形態安定性の測定は通常、日本工業規格(JIS)に定められた試験方法で洗濯後のシワの状態を表すウオッシュ&ウエア性(W&W性)を指標として評価する。洗濯後の生地と6種類の立体レプリカ(シワ見本)を目視で比較し、1級から5級までの等級付けを行う。この方法では3・5等級を含む6段階までしか判定できず、より細分化した評価ができないという問題があった。
これに対して日清紡テキスタイルらが新たに開発した評価方法は、画像解析を用いた機器により客観的な判定を行うもの。指定スキャナーで洗濯前後の生地をスキャンし、「均一性(全体的なシワ)」「濃淡差(シワの深さ)」「情報量(シワの量)」「線状性(シワのシャープさ)」の4項目で画像解析・データ化する。これを変換式に当てはめ、洗濯前後のシワの変化だけを評価する「シワカット指数」を算出して性能を評価する。従来のW&W性等級ではなく、1ポイント刻みの数値で評価できるため、より厳密な評価が可能になった。
同社は今後、形態安定シャツ地の性能評価に新評価方法を導入する。自主基準として形態安定生地はシワカット指数72以上とすることで、消費者に対して、より正確に測定した性能と品質を保証する。
形態安定性能はシャツ製品の優劣をアピールする上で重要性が高まっているが、最近では加工技術の進歩によって、より高性能な形態安定性をうたうシャツが増加した。このため従来の評価方法では性能差を消費者に正しく伝えることが難しくなった。今回、日清紡テキスタイルが、より厳密に防シワ性を測定する形態安定性評価方法を開発・導入したことで、消費者に向けて従来よりも正確な性能情報を発信することが期待される。