東レ香港/中国スポーツ大手向け開始/19年3月期売上高横ばい

2019年04月25日 (木曜日)

 【香港=岩下祐一】東レ香港(THK)の2019年3月期売上高は、前期に比べ横ばいだった。暖冬の影響で、日本向けが振るわなかった。一方、18年後半から中国大手スポーツブランドとの取り組みを始めた。今後の事業の柱の一つに育てていく。

 同社は、中国の主力工場、THKアパレル(広東省珠海市)や山東省青島の合弁工場、バングラデシュ、ベトナムの協力工場を活用し、スポーツアウターのニット縫製品やインナーを生産している。ここ数年は、主力顧客が生産をASEANにシフトする中、THKアパレルの高度化を進め、新規顧客の開拓を強めている。

 こうした中で、市場拡大を追い風に業績を伸ばす中国スポーツ大手の開拓に成功し、昨年11月に生産を始めた。雁子敏一・副董事長は「今後拡大できると確信している」と話す。

 新規顧客の開拓が順調な背景には、THKアパレルの高度化とともに、同社が製品提案を強化していることがある。風合いや機能に特徴のある東レの特品素材を使った製品に加え、接着縫製など新しい技術を生かした製品の提案も昨年から積極化し、顧客から好評を得ている。

 THKアパレルは、今後も高度化を進める。2年前に立ちミシン生産を導入し、小ロット・多品種、短納期対応を強化、RFID管理による生産の可視化にも取り組んでいる。シームレス縫製、デジタルプリントなどの技術を生かした新商品の開発も進む。

 一方、最大4千人いた従業員は現在、約1550人。今後はこの規模を維持するが、「中国の設備メーカーの自動化、省人化設備の進歩がこの2、3年著しい」ことから、自動化設備の導入を昨年本格化し、生産効率改善や要員合理化、製造コスト低減に取り組み始めた。