海洋プラスチック問題に目を向ける企業/それぞれの方法で対応

2019年05月14日 (火曜日)

 海洋プラスチックごみ問題に関心を示す企業が目立ってきた。プラスチック製品が生活になくてはならないものになっている一方で、海洋プラスチックごみが生態系を含めた地球環境に大きな影響を与えるためだ。各社はそれぞれの視点や方法で問題への対応を図っている。

 帝人フロンティアは、緩和と適応の両面から取り組みを進めている。緩和策は、微細な繊維片が排出されにくい繊維素材の開発と販売であり、新質感スエット生地「デルタフリーモ」やタオル構造の快適素材「デルタTL」、特殊断面ポリエステル繊維「オクタ」を使った「オクタCPCP」などを打ち出した。

 適応策では、マイクロプラスチックの発生を少しでも抑制するため、リサイクル活動を推進。スポーツやフェスなどのイベント時にプラスチック回収活動を実施することで、イベント参加者にプラスチック回収スキームの重要性を訴求する。海岸清掃活動なども行っている。

 東レは、マイクロプラスチック問題の中でフォーカスされている「繊維素材の海洋ごみ」について実態調査・発生経路の確認などを進めている。昨年8月に繊維事業本部の中で生販一体のプロジェクト体制を発足し、海洋プラスチックの分布・影響調査、他業界との協力・連携、繊維くずがより発生しにくい技術開発などに取り組む。

 三菱ケミカルホールディングスは「2030年に向けて循環型社会の構築を率先していきたいと考えており、海洋プラスチックごみの問題はその主要テーマ」との認識を示す。今後は3R(リデュース、リユース、リサイクル)に、リニューアブル(使い捨てプラスチックからの脱却など)を加えた4Rを進める。