クラボウ/新中計がスタート/21年度に1700億円

2019年05月14日 (火曜日)

 クラボウは4月、2021年度(22年3月期)を最終年度とする3年間の新たな中期経営計画「クリエーション21」をスタートさせた。同時に始動した30年までの長期ビジョンの第1段階と位置付ける。

 13日に大阪市内で会見した藤田晴哉社長は新中計について、「18年度までの中計の基本方針の延長上の施策」と述べ、繊維事業では「引き続き利益率の向上、研究開発から生まれた新商品、ビジネスモデルを収益につなげることが重要になる」と話した。

 21年度のクラボウグループの連結業績目標は売上高1700億円(18年度比8・3%増)、営業利益90億円(60・7%増)、経常利益95億円(55・7%増)、純利益65億円(41・3%増)。繊維事業では売上高622億円(4・2%増)、営業利益8億円(18年度は9億円の損失)を目標にする。

 新中計では「イノベーションによる収益拡大と企業価値の向上」を基本方針とし、(1)高付加価値ビジネスの拡大(2)海外事業の強化・拡大(3)R&D活動の推進と新規事業創出(4)多様な人材の活躍推進(5)クラボウブランドの価値向上と信頼される企業づくり――の5点に取り組む。

 繊維事業では新たなビジネスモデルの構築による高付加価値商品の拡販、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)を活用したスマート工場化による競争力の向上、グローバル展開の再編と拡大に取り組む。

 グループ全体で3年間で220億円の設備投資を行う。そのうちおよそ半分が化成品事業への投資で、繊維分野は全体の25%ほどになる見通し。繊維原料改質設備の増強、最新の技術を活用した工場のスマート化に取り組む。

〈繊維事業が赤字転落/19年3月期〉

 クラボウの2019年3月期連結決算は、売上高が1570億円(前期比2・9%減)、営業利益が56億円(18・0%減)、経常利益が61億円(15・9%減)、純利益が46億円(4・5%減)の減収減益だった。

 繊維事業は売上高が597億円で前期比6・7%減となり、営業損益は9億5600万円の赤字となった(前期は6億9500万円の黒字)。同事業の赤字は10年3月期以来。

 ユニフォーム分野は需要安定により増収となったが、カジュアル分野は国内衣料品販売の低迷により減収、原糸分野も販売不振により減収だった。

 赤字の要因は、カジュアル分野の低迷、原燃料価格の上昇、工場の操業率低下など。

 今期は売上高1530億円、営業利益57億円、経常利益62億円、純利益42億円を見込む。