帝人フロンティア/海外ニット生産増強/PTT/「デルタ」複合拡充

2019年05月14日 (火曜日)

 帝人フロンティアのテキスタイル第一部は2019年度(20年3月期)もスポーツ素材の拡販を計画する。この間、ニットを海外生産する体制の増強に取り組み、海外比率を早急に40%まで引き上げ、海外縫製する国内外のアパレルとの販路拡大につなげる。

 同部はスポーツ素材、衣料・生活資材を展開し、主力のスポーツが70~80%を占める。18年度は原燃料高騰などにより利益面で苦戦を強いられたものの、高バランス素材「デルタ」を中心に「海外向けが好調で増収を確保できた」(中谷太一テキスタイル第一部長)と言う。

 スポーツ向けニットで海外生産体制を早くから充実させてきた取り組みが拡販を後押する。今後も、中国やインドネシア、タイの拠点を活用したオペレーションを進める。ユーザーが求めるエリアでの素材生産ができなければ「今以上の成長は見込めない」と話し、今後も海外生産の増強に取り組み、ニットの海外生産比率を早急に2倍の40%まで引き上げたいと言う。

 9月に始まるラグビーワールドカップ以降、ゴールデンスポーツイヤーズに伴う「市場活性化が期待できる」とみており、19年度も18年度並みの増収を計画する。来年開催される東京五輪・パラリンピックに伴いユニフォームやボランティア関連で発生が見込める周辺需要を取り込んでいくために「できることを全てやっていく」と意欲を示す。

 手薄だったポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」とデルタを融合させた複合素材の開発・販売を強化し、糸段階で両者をミックスした「デルタSLX」が引き合いを集めている。20春夏ではスポーツ向けで50万㍍の販売を計画する。社内連携を通じカジュアルなどの一般衣料への販路拡大にも取り組む。

 海外ユーザーを中心に関心が高まっているエコ素材による企画提案にも力を入れる。欧州を中心に起毛部分の脱落が懸念される「フリースを回避する動きが出始めた」と見ており、このゾーンには特殊な4層構造を持つポリエステルニットによるスエット素材「デルタフリーモ」を改めて打ち出す。