ダイワボウHD/繊維の営業益過去最高へ/合繊・レーヨン市況回復で

2019年05月15日 (水曜日)

 ダイワボウホールディングスは今期(2020年3月期)、前期に7期ぶりの減益を余儀なくされた繊維事業が増益に転じ、過去最高を更新すると見込む。前期の減益要因となった合繊・レーヨン部門が「2月以降、徐々に回復しつつある」(斉藤清一取締役兼常務執行役員)ことなどによる。

 繊維事業の営業利益は3期連続で過去最高を更新し、18年3月期に33億円となった。ところが前期は増収ながらも減益だった。今期は、売上高が757億円(前期比0・8%増)、営業利益が35億円(8・3%増)の増収増益を見込む。

 前期好調だった衣料製品部門は今期も前期並みの業績を維持すると予想。同部門ではOEMが東アジア向けで特に伸びている。結果、同部門の売上高に占める海外向けの比率は若干上昇し、17~18%となった。

 産業資材部門では帆布やテントなどの重布関連商品の受注が、一昨年から昨年にかけて激甚災害の影響もあって伸びた。今後も、備蓄需要の拡大などにより安定した売上高を見込めると言う。

 原燃料の高騰によって利益面を圧迫していた合繊・レーヨン部門についても、「メード・イン・ジャパンの衛生材料やコスメ関連分野の市況が2月から徐々に回復しつつある」(斉藤取締役)として、以前の利益水準に戻ると予想する。原燃料コスト上昇分の販売価格への転嫁に努めることに加え、ポリプロピレンやレーヨン短繊維を生産していることの優位性を出せる商品開発にも取り組む。

〈過去最高業績を更新〉

 ダイワボウホールディングスの2019年3月期連結決算は、売上高が7855億円(前期比17・3%増)、営業利益が227億円(58・7%増)、経常利益が228億円(59・8%増)、純利益が167億円(59・3%増)だった(短信既報)。売上高も各利益も過去最高。

 繊維事業の売上高は750億円で前期比5・7%増だったが、営業利益は2・4%減の32億円となった。衣料製品部門のOEMが東アジア向けを中心に伸びたことなどで増収を確保したものの、合繊・レーヨン部門の採算が原燃料価格の高騰で悪化し、減益となった。繊維事業の減益は7期ぶり。

 今期は売上高7924億円、営業利益227億円、経常利益225億円、純利益141億円を見込む。