特集「PTJ2020春夏」(1)/新規出展が新鮮さ生む/サステ素材も注目される

2019年05月16日 (木曜日)

 JFW(日本ファッション・ウィーク推進機構)テキスタイル事業は21~22日、東京国際フォーラム・ホールE1(東京都千代田区)で「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)2020春夏」を開催する。94件/123・1小間(PTJ2019春夏94件/125・1小間)と、昨年と同規模。うち新規は6社、復活は6社。令和時代最初のPTJが始まる。

〈繊維の街 地元にアピール/古橋織布 営業 西井 佳織理 氏〉

 遠州産地は天然素材に特化しており、中でも綿素材を得意とする。繊維の街として知られているが、海外からの流入品で打撃を受け、繊維産業は衰退していった。ただ、残った企業は藍染めやジャカード、帆布など多種多様な織物を手掛けており、オリジナルなモノ作りにたけている。

 当社はシャトル織機による綿織物の生産に特化している。シャトルは糸に負担を掛けずに低速で織るため、ふっくらとした生地に仕上がる。その後の染色整理加工も大事で、シャトルと加工の組み合わせで風合いが生きてくる。非効率で大量生産できないため、売り先もデザイナーズブランドなどに限られる。

 遠州も全国の産地と同様に分業体制で成り立っているため、今後の課題は技術の継承と言える。特に経通しの工程で人手不足が顕著で、現役は70~80代の人たちばかり。一連の工程が産地内で完結できるよう後継者の確保をしていきたい。

 そのためには地元の人に遠州をもっと知ってもらうことが必要だと考えている。若い人は遠州が繊維の街ということを知らない人も多いので、地元の伝統産業に関わりたいという若い地元の人材に着目したい。今年設立された産地の活性化やPRに取り組む遠州産地振興協議会は大きな一歩になる。繊維の街として遠州を維持させるため連携して盛り上げていきたい。

〈欧州展人気素材も披露〉

 今回の出展者は短繊維41件、長繊維23件、染色・後加工、プリント、刺しゅう・レース、皮革・毛皮が21件、服飾資材、ニット、撚糸、パイル9件という内訳。

 川島朗JFWテキスタイル事業事務局長は「新規出展者が多い。アパレル市場は依然として厳しいが、テキスタイルメーカーとアパレルなどとの商談活発化に役立てたい」と話す。

 新規出展組の室谷(大阪市中央区)は2025年に創業100周年を迎える。これに向けてオリジナルの100柄を製作中。今回新作5柄を提案するとともに、昨年スタートした裏地の備蓄販売機能をアピールする。協友(京都市)は「関東の顧客の新規開拓が目的」とパネル柄プリントのバリエーションを訴求する。

 森川レース(福井市)も初出展だが、2月の「ミラノ・ウニカ」で好評だったサステイナブル(持続可能な)レースなどを出品。毎回PTJに来場するバイヤーもあり、新鮮な新規出展者が多いことを評価する。

 PTJ出展者には欧州のミラノ・ウニカや「プルミエール・ヴィジョン」に出展する企業も多い。「日本の繊維企業が生き残るためには、輸出も重要」(川島事務局長)。今回も欧州展で評価の高かった生地が紹介される。

 海外市場にはサステイナビリティー(持続可能性)の潮流がある。「海外輸出が7割を占めるが、欧米ではサステイナブル素材が条件になるところもある。日本はまだ遅れているが、最近は関心も高まってきた」(明林繊維)。PTJでもサステイナブル素材を打ち出す企業が毎回増えている。

〈川俣と遠州産地紹介〉

 関連プログラムの「テキスタイル ワークショップ~日本の素材を学ぼう!」。21日(午前10時半から)は齋栄織物常務の齋藤栄太氏による「シルク/川俣産地」、22日(同)は古橋織布の営業担当西井佳織理氏による「コットン/遠州産地」を予定する。

 これはPTJ出展の産地企業人を講師に招き、寺子屋風に素材や産地への理解を深めてもらうのが目的。繊維業界人となって間もない(職歴5年未満)商品企画などの若手社員を対象にする。

 シルク、綿の後染め織物の講義は初めて。今回の講師は2人とも若手だ。産地は後継者問題が大きいが、こうした若手が次の産地をリードしていく。「そうした覚悟や姿勢も伝わればうれしい」(川島事務局長)

〈齋栄織物 常務取締役 齋藤 栄太 氏/複眼的視点で判断を〉

 絹織物産地の福島県川俣町は約30年前には240以上の織布企業が存在していたが、現在は10分の1以下にまで縮小した。ただ、それぞれが独自の路線を進んでいることからバッティングが少なく、各社とも織機は動いている。他の産地と比べると“淡々”と仕事をしている感がある。

 独自路線の推進は、国内生産がシュリンクする中で、生き残りを懸けて各社が取り組んだ戦略であり、結果的に独自化を図った企業だけが生き残ったとも言える。現在の川俣産地では、和装への特化や工業資材向けの強化、スカーフをはじめとする製品展開、海外市場開拓といった動きが見えるようになった。

 大きな課題は連携だと考えている。特に重視するのが産地内企業同士の取り組み深化で、連携して何か新しい製品を作って販売したい。その一環として、一般の人から募集したデザインを製品化し、販売する「ストールコンテスト」の開催を予定している。加工場や下請けが減少していることを考えると、他産地との連携も必要になる。

 川俣だけでなく、国内産地のこれからを支える人材確保も課題であり、地元の優秀な人の入社を促す魅力作りは不可欠。今、若い人に伝えたいのは、多面的に物事を見てほしいということ。イノベーションを起こすには、複眼的な視点で判断する必要がある。