合繊メーカー/エコ素材を前面に/サステイナブルが必須に

2019年05月17日 (金曜日)

 合繊メーカーがサステイナブル(持続可能な)を意識した取り組みを加速している。欧米のスポーツ系メガブランドからの引き合いは以前から旺盛だったが昨年、マイクロプラスチック問題が浮上するに伴い、メーカーには国内からもエコ素材に関する問い合わせ、引き合いが盛んに寄せられるようになったという。2019年度は、ユニフォームやスポーツだけでなくファッション事業もリサイクルポリエステルなどを前面に商戦に臨もうとしている。(堤 貴一)

 帝人フロンティアは「ファッション素材にもサステイナブルがマストになってきた」と見ており、同社としてのエコ素材の基準を設けた上で、独自のブランド戦略を導入し早急に販売を立ち上げたいと意欲を示す。

 4月に東西で開催した「ユニフォーム部20春夏内見会」では、SDGs(持続可能な開発目標)の17目標のアイコンを取り入れたPOPでプロモート素材群を訴求。出展素材の80%を、エコ素材をミックスした企画で提案した。

 欧州を中心に起毛部の脱落の可能性があるフリースを回避する傾向がある。スポーツ事業は、このゾーンに4層構造のポリエステル素材「デルタフリーモ」を売り込む。

 旭化成アドバンスは4月スタートの中期計画で、サステイナブル、海外衣料、自動車といった7事業を重点領域に位置付ける。サステイナブルでは、リサイクル素材、バイオ由来のポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維などの素材群を冠ブランドに統合。独自ブランドとして訴求する新しいブランド戦略を下半期から本格化する。

 東レのユニフォーム事業はこれまで部分バイオ原料のポリエステル「エコディア」の拡販と取り組んできた。ここに来て企業イメージを重視する大手企業からの別注案件で採用が広がっていると言う。

 現在は再生ポリエステル「エコユース」の商品開発を強化しており、短繊維中心だったエコユースの長繊維の生産銘柄を充実させる。

 東洋紡STCのスポーツ事業は欧州での商売を考えたとき、「エコは避けて通ることができないテーマ」との認識を示す。昨年は後半、国内のスポーツアパレルからエコに関する同社のスタンスをよく聞かれるようになってきたと言う。

 今月下旬に東西で開催するグループ繊維総合展では、再生ポリエステル「エコールクラブ」などによる素材群を提案し、スポーツ事業としての同社のスタンスの一端を披露する。ユニフォーム部隊も「エコをイチ押し素材として打ち出す」。

 ユニチカトレーディングはケミカルリサイクルによる再生ポリエステルを「エコフレンドリー」ブランドで打ち出し、19年度から販売促進を本格化。産資事業も「資材でもエコへのニーズが高まってくる」とみており、エコ素材による企画の準備、アプローチに意欲を示している。