テックスプロセス/活況な日系ミシン製造/デジタルなど次世代提案

2019年05月20日 (月曜日)

 【フランクフルト=西田貴夫】14~17日に開催された縫製機器と関連加工技術の国際見本市「テックスプロセス2019」で日本のミシン製造大手は、次世代に向けさまざまに提案した。日本企業のブースは連日活況で、特にJUKI、ブラザー工業、ペガサスミシン製造は多くの人であふれた。ブラザー工業では、用意していたパンフレットなど販促物が3日目に底を突くほどだった。

 JUKIは、1日4回のプレゼンテーションを自社ブース内で行いながら「JUKI・スマート・ソリューション」のコンセプトを具体的に示した。同社は、自動化、デジタル化、ネットワーク化が今後の方向性とし、同展でそれを具体的に示した。

 自動化では国内外の自動機メーカーと組み「サプライド・バイ・JUKI」として、同社が販売・サービスする体制を訴求。出展機種の多くをデジタル化した上、ネットワーク化ではミシンの稼働状況をリアルタイムで示して関心を集めた。デジタル機種でのデータの双方向化に加え、既存機種でも独自端末を装備することで稼働状況などが把握できることも提案した。

 ブラザー工業は、工業用ミシンに求められる基本性能の追求と将来に向けた技術挑戦の両方を示した。基本性能の追求とは戦略機種「ネクシオ」シリーズのこと。生地送り機構を電子化した「デジフレックスフィード」を採用し、針折れ防止トラブル削減による生産性向上、素材に合わせた糸締りによる高い縫製品質などが特徴。その中でもリーズナブル価格の「S―9250A」が人気だった。

 同時にネクシオシリーズによるIoTシステムを訴求。ネクシオシリーズは専用アクセサリーを取り付けるだけで無線でネットワークにつながり、現場の見える化が可能になる。これにより、生産性の向上に結び付く。一方、挑戦という面ではブリッジ型プログラム式電子ミシンとロボットシステムを組み合わせたエアバッグの自動縫製システムをデモンストレーションした。

 ペガサスミシン製造は、最新鋭機種、自動機、省力化装置に加え、海外向けにコストを抑えた専用機種を提案した。ベルトループ縫い用フラットベット型扁平(へんぺい)縫いミシンもその一つになる。高価格と低価格、二極化する市場に対応する。ヤマトミシン製造(大阪市北区)は、丸編みヘム縫い用半自動ワークステーション「EZH―B」が人気。一方で自動化設備も提案したが、完全自動化は少品種大ロット向け。多品種小ロット対応は全自動化ではなく、人が手掛ける部分も重要と見る。その一つが「BSH―B」になる。