ユニチカトレーディング 機能素材営業部/繊維くずが落ちにくい生地開発/マイクロプラ問題に対応

2019年05月21日 (火曜日)

 ユニチカトレーディングの機能素材営業部は、マイクロプラスチック問題に対応する断熱保温生地「エアーホールド―NB」を開発した。生地組織の工夫で合成繊維くずの脱落を抑制すると同時に、起毛品と同レベルの保温性を付与した。アウトドア分野の中衣用途などを中心に20秋冬に展開を始める。

 廃棄プラスチックによる海洋汚染が問題視される中、確かなデータはないものの、「合繊生地を起毛したフリースなどを洗濯した際に繊維くずが脱落し、排水から河川・海洋へ流出しているのではないか」と指摘する声が出てきた。エアーホールド―NBはそうした懸念に対応する新素材。

 起毛を施さず、特殊な生地組織とすることで、かさ高構造による保温性と毛羽の脱落抑制を実現した。繊維脱落率を試験したところ、一般的な起毛品の脱落率(ほつれ防止のため端を溶着した生地を洗濯して捕集した繊維から算出)が0・199%であるのに対し、エアーホールド―NBは0・06%だった。

 ダブルラッセル生地によってかさ高性を出しているが、生地の真ん中をカッティングするなど多様なバリエーションで展開できる。今後は丸編み地や織物の商品化も進める。マイクロプラスチック問題への対応をうたった生地の提案はまだ少なく、需要動向を探りたいと言う。

 断熱保温素材の「エアーホールド」シリーズからは、「エアーホールド―QT」も新たに提案する。キルト組織によって生まれるデッドエア層と吸光熱変換機能を持つ「サーモトロン」の中わたを組み合わることによって保温効果を高めた。ゴルフウエアをはじめとするスポーツウエア分野を中心に展開する。

 20秋冬ではマテリアル・ケミカルリサイクル技術を駆使した環境配慮型ポリエステル素材「エコフレンドリー」、太陽光熱変換・急速発熱が特徴の「速ポカ」などを訴求。インドネシアでの生地(一部は製品)生産オペレーションにも力を入れるなど、今後の成長(売り上げ拡大)に向けて基盤を固める。