日本繊維機械学会/学会活動もSDGsを

2019年06月06日 (木曜日)

 日本繊維機械学会はこのほど、国連が提唱する「持続可能な開発目標」(SDGs)を学会活動に積極的に組み込む。「テキスタイル・フューチャー2030」をキャッチフレーズにSDGs実現に向けたメッセージを発信する。繊維分野の学会ではSDGsを活動に取り入れる初の試みとなる。

 同学会では、活動の内容や目的をSDGsの目標に合わせて整理。それぞれ目的を「テキスタイル・コミュニティの発展」「繊維機械の革新」「高機能素材の付加価値化」「健康・安全・環境のための高度な分析・解析・評価」「サーキュラーエコノミーおよびフェアトレードに向けたテキスタイルとマーケティング」「パートナーシップによる社会システムづくり」「AI・ビッグデータ・IoT活用による新技術・新製品」の7カテゴリーに分類した。これらをそれぞれSDGsとして掲げる目標に対応させることで、学会活動を通じたSDGsの達成を目指す。

 今後、同様のSDGsに向けた取り組みを進める大学や繊維企業、公設試験場などとも連携し、学会活動の“見える化”を進める。

〈日本繊維機械学会賞/技術賞にアシックス、クラボウなど〉

 日本繊維機械学会はこのほど、優れた研究や開発を賞する「日本繊維機械学会賞」を発表した。技術賞にはアシックス、クラボウなどが選ばれた。各賞の受賞者と受賞内容は次の通り(敬称略)。

 【論文賞】「導電性編物を用いたウェアラブルセンサによる人体動作の測定と行動識別」(金沢工業高等専門学校・藤岡潤、同・吉田善洋、同・伊勢大成、金沢大学・関啓明)

 【技術賞】「低強度運動用ブラの開発」(アシックス・瀧井靖歩、同・森洋人、同・角奈那子)、「暑熱環境下での作業リスク管理システムの開発」(クラボウ・藤尾宜範、同・原泰明、同・大月昌也、同・松雪遼、大阪大学・中江悟司、同・清野健、信州大学・金井博幸)

 【学術研究奨励賞】「運動効果促進ウェアを構成するテープ状編物が筋活動に及ぼす効果」(信州大学・金井博幸)

 【学術奨励賞】「非圧電ポリマを用いて作製した電界紡糸ファイバ膜の圧電挙動メカニズム」(京都工芸繊維大学・北山流星)、「分岐・合流組紐作成時のマルチブレイダにおける設計因子」(金沢大学・坂西映輝)、「パラ系アラミドエアロゲル繊維の形成とその超臨界乾燥によるフレキシブルエアロゲルの調製」(福井大学・永濱寿章)、「動作時の皮膚挙動に着目した機能性スポーツブラの開発」(アシックス・瀧井靖歩)、「酸化マグネシウムナノ繊維の作製と絶縁シートへの応用」(福井大学・高橋和也)、「高速回転するローラ周りの流れ場と風損低減」(金沢大学・渡邉拓時)

〈豊田鐡郎氏が名誉会員に〉

 日本繊維機械学会は優れた業績と学会への貢献が多大な会員をフェローに認定している。このほど、新たに金沢大学の喜成年泰氏とAOKIの柴田清弘氏をフェローに認定した。また、同学会の副会長などを歴任した豊田自動織機の豊田鐡郎会長を名誉会員とした。